2011.04.20

『100.000年後の安全』感想

『100.000年後の安全』は日本の福島原発の事故が起きる前に作られた映画だ。FUKUSHIMA以後、日本も含め諸外国でも原発に対する不安が一気に現実のものと化してその賛否が改めて論じられるようになった。多分FKUSHIMA以前に観ていたらまだまだ遠い国の話として他人事のように感じていただろう。せいぜい六ヶ所村のことを連想する程度だったろう。でもFUKUSHIMAを経た今、これはどうしようもなく我々自身の問題であり、避けては通れない問題であることを痛切に感じた。

今後原発をどうするかはその国の民意や政治経済etcの問題だが、現実問題として現在地球上には400基以上の原発が存在し、更に計画中のものが50基以上ある。そして原発を動かせば必然的に使用済み核燃料=高レベル放射性廃棄物が出る。(ちなみに日本では使用済み核燃料を再処理することを前提としているので高レベル放射性廃棄物 = ガラス固化体をさす。)
◆高レベル放射性廃棄物に関する基礎知識http://www2.gol.com/users/amsmith/whatsHLW.html

この映画はその高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料)を地中深く10万年間保管しようとするフィンランドのオルキルオト島に建設中の最終処分場(別名オンカロ:隠された場所)に潜入したドキュメンタリーだ。

驚くべきことに世界中にこれだけの原発が存在しながら、最終処分場を持つ(まだ建設中だが)国はフィンランドだけらしい。そのフィンランドに原発は4基。日本は50基以上の原発を有しながら大部分の使用済み核燃料は国内で再処理できず(海外に委託)、原子力発電所内にある貯蔵プールに保管されたままになっている。原発作るだけ作ってそこから出るゴミのことは全く考えられていない、というかその処分のシステムさえ確立されていないというのが世界のスタンダードらしい。

と、まあ愚痴は置いておいて、この『100.000年後の安全』はタイトルが示すように、安全になるまで10万年を要するという高レベル放射性廃棄物を本当に10万年間も安全に管理できるのか?“10万年後の安全”を保証できるのか?自然災害・戦争・経済破綻etcでこの場所が将来どうなるか誰も分からない。また、ここが途中で掘り起こされたりしないのか?掘り起こされない為に、ここが危険な場所であり、これが危険な物質であることをその時の人類(?)に伝えることは可能なのか?等々深刻で深遠な問題を提起してる。

映画はオンカロの建設に関わる人のインタビューや建設現場の様子を淡々と映す。静かに深く。その問いかけと静謐な映像は,例えば『月に囚われた男』のようなSF映画を連想させたりもする。ツイッターでも呟いたがクラフトワークの曲(RadioActivity)が使われてたりもする。
原発に関してはまだまだ賛否はあるが、これは賛否を超えた現実の問題として現在と未来の人類(及び生命体)の為に対処しなければいけない問題なのだ。

個人的には、これ程までに厄介な原発を、果たして本当に人類は必要としているのか?と思う。少なくとも原子力を制御できる程の技術も知性も現在の人間はまだ有していない。決定的な手遅れになる前に手を引いて別の道を探るべきだと思う。

◆『100.000年後の安全』公式サイトhttp://www.uplink.co.jp/100000/

Twitterやってる方は #10mannen_mita で映画を観た人の感想を読むことができます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.08.26

『ぼくのエリ 200歳の少女』における修正の問題。(2011.04.19追記有り)

2011年04月19日(月)追記。

下記記事を書いてかなり経ちますが今でもコンスタントにアクセスがあるようで、この作品に対する関心の深さを感じています。

下記記事は作品を観て割と直ぐの感想なので、その後DVDが発売されたりハリウッドリメイクの日本公開も決まったりしています。その間の動きを少し追記しておきます。またコメント欄にもありますように配給会社側の事情はこちらの方のブログに書かれていますので是非ご参考にして下さい。
■正しい者を、こっそり入れて■ http://mega80s.txt-nifty.com/meganikki/2010/07/post-1cf9.html

◆ロードショー終了後、ミニシアター(横浜ジャック&ベティ)でもう一度鑑賞。多分上映素材が発売用DVDだったのか、ボカシがスクラッチ状の酷いものからかなりソフトなボカシに変更されていた(DVDは未見のなので確証はありませんが)。

◆ハリウッドリメイク版『モールス(原題:LET ME IN)』が2011.08.05(金)より公開予定。エリ役は『キック・アス』のクロエ・モレッツ。監督は『クローバーフィールド HAKAISHA』のマット・リーヴス。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

『ぼくのエリ 200歳の少女』における映倫の修正の問題です。既にご覧になった方も多いでしょうし、8/28(金)からはヒューマントラストシネマ渋谷でムーブオンされるようなのでこれからご覧になる方も多いでしょうから、ツイッターでは呟きましたが、ここでもう一度言わせてもらいます。

以下、作品の内容(ネタバレ含む)に触れますので、映画未見の方、これから原作を読もうと考えてる方等はご注意下さい。

・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・

『ぼくのエリ 200歳の少女』における映倫の修正は、全くもって由々しき問題であります。あの修正でぐちゃくちゃになったエリの局部には何が映っていたのか?これは単に猥褻とか何とかではなく、作品を理解する上で重要なシーンであるにも関わらず、それをまるっきり観客の目から隠してしまい、結果、作品の幅を狭めてしまっているのですよ。

映倫の審査の方々はオリジナルを観て、あのシーンの意味することが分からなかったのでしょうか?だとすればそれは「映画」を審査するにはとても不適格な方々ではないでしょうか?画面に映っているものを即物的に判断していくだけなら人間でなくてもいいではないですか。映倫には映画の内容を理解する能力は必要はないの?

また、この映倫の愚行を許してしまった配給会社の責任も大きい。当然配給会社の人たちもオリジナルを観ているはずだし、そうすればあのシーンの意味するところは明確だし、あのような修正を加えてしまえば作品の解釈を歪めてしまうことは十分に分かるはず。万が一映画からそれが分からなかったとしても、原作にはそのシーンの意味するところは書かれているらしいから、容易に理解できるはずでしょ。もしかして原作に目を通してないとか?

で、肝心のボカシの裏には何があったのか。以下ネタバレしますので未見の方、作品のイメージを壊されたくない方はご注意下さい。
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・

・・・・
・・・・
・・・・

・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
これは劇場で販売されているパンフレットに書かれていることですが、エリの局部には男性器を切除した大きな縫い目があるそうです。つまり「エリ」は少女ではなく少年なのです。

どうです、これまでボーイミーツガールの切なく残酷な純愛ものだと思ってた世界が一変するでしょ?少年の父親とその友人とのシーンも見方が変わってくるでしょ?エリのそれまでの庇護者との関係とか、色々と想像しちゃうでしょ。

もちろん少女のままでも話しとしては問題ないですが、これが少年だということになるとまたひとつ深い話しになりますよね。それを映倫と配給会社の人たちは限られた解釈の中に閉じ込めようとするのは許せない行為です。

ちなみに原作の本では性器を切除するに至る過程も詳しく書かれているそうです。

百歩譲って、配給会社としては修正は避けて通れなかったとしても、それならそれであのシーンに描かれていたことを書いた紙を観客全員に配るとかの配慮はあってしかるべきではないかと思いますよ。監督は知ってるんですかね、日本でこんな形で公開されていることを。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2010.02.14

『フローズンリバー』感想

フローズンリバー』。まずは冒頭5分くらいで全体の状況を分からせる手腕が鮮やか。その後もテンポよい展開でグイグイと引き込まれていく。追いつめられた者、奪われた者の選択がまた次の事態を生む。社会性とエンタメ性を合わせ持った良作だ。

不法移民とういうとメキシコ国境を思い浮かべてしまうが、こういうルートもあるのかと驚く。しかも国際色豊か。インディアンとか部族警察とか出てきて、ちょっと『ユダヤ警官同盟』的雰囲気もあった。しかしニューヨーク州なんだよね、ここ。実際深刻な問題のようだ。

正直もう少し悲劇的な結末を予想していたが、そうはならなかった。ハリソン・フォードの『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』も不法移民の話しだった。『正義のゆくえ』の方が救いがなかったなあ。まあメキシコ国境の方が厳しだろうしな。

『バベル』とかもそうか。映画的には『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』が一番好き。と、国境の町は様々なドラマを生む。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.08.04

『アマルフィ 女神の報酬』感想

『アマルフィ 女神の報酬』観ました。原作が真保裕一というのに惹かれまして。正確には、映画用に原作を書いたということらしいですが。

テンポもよく分かりやすい適度な緊張感もあり、楽しめました。全編イタリアロケも違和感なかったし。でもね、以下ネタバレ出ますので・・・

Amalfifly

すごく乱暴な意見ですが、これって『相棒-劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』?と思いました。と、いうか「誘拐と見せかけて、」とか「銀行強盗と見せかけて、」とかいうパターンはよくありますからね。警察とかをあちこち引き摺り回しておいて実は真の目的は・・・という。

『アマルフィ』はネタ的に“身内が紛争地帯で殺され、その事実を日本国政府に揉み消された恨み”という犯人の動機の部分の類似性から『相棒〜』?と思ったわけで。『相棒〜』よりはちゃんとした映画になってますがね。

問題は、誘拐犯グループが何で黒田(追う側)の行動をそこまで予測して計画を立てられるんだよ?!ってこと。だって監視カメラの会社に辿り着ける保証なんてどこにもないじゃん。しかも犯人グループの希望日時にさ。更に言えば、それも黒田がいたからでしょ?マヌケな奴らばかりだったらどうしたの?脚本は真保裕一と西谷弘監督が共同で書いたそうですが、その辺の詰めの甘さが致命的残念賞。

あと、展開上仕方ないとはいえ犯人グループのメンバーの素性が全く不明な点も困る。何であんな凄腕ハッカーなのかとかさ。みんな銃の取り扱いはどこで習ったの?とかさ。

あと、戸田恵梨香とか伊藤淳史とかさ、どーみても海外の大使館の職員としては頼り無さげなキャスティングってどうなの?見た目で判断しちゃいけないけど、映画は見た目も大切だよね。

と、いうことで今度はベネズエラらしいので楽しみに待ちましょう。

余談ですが、織田裕二って川崎(宮前区?)の出身なんですか?Wikiには「横浜生まれ」と出生地が「〜宮前区」の二つの記述があるんですがね。でも日曜日に川崎のチネチッタに来た時は確かに「地元」って言ってましたしね。

Amalfi_chine

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.07.26

『築城せよ!』感想

築城せよ!』です。

エンタメ作品としては正直かなり辛い。テンポも悪いしテーマも絞れてない。アイデアが面白いだけに残念。観客としてはどうやって段ボールでお城を作るのか?が見たいわけなのに、そこまでに行くまでが長い。築城開始までの話しが長くて、気が付いたらほとんど完成間近なんで、ちょっと拍子抜け。まあ、監督としては真のテーマはその過程にあるようですが、エンタメ的にはそんな人間ドラマより具体的な「巨大な段ボールの城」が出来上がっていくところが見たいのいだと思うのですが、いかがなものでしょうか。
監督の古波津陽(1973年生まれ)という人はこれが長編デビューらしいですが、まだまだ作劇としてはこなれてない感じです。

◇『築城せよ!』 古波津陽監督、益田祐美子プロデューサー インタビュー(CINEMA JOURNAL)

http://www.cinemajournal.net/special/2009/chikujoseyo/index.html

監督は「〜あくまでファンタジー〜」と言ってますが、ファンタジーだからって肝心の築城場面を省略してもいいってことはないと思うんですがね。リアルに描く必要はなくても、完成して行く過程はもっと見せてくれないと。そこに人間ドラマを巧みに織り込んでいくのが腕の見せ所でしょう。

まあ、映像作品としてはもう一息な感じですが、心意気としては買います。


作品の内容とは離れますが、この映画、日本映画では初めて「RED ONE」で撮影されたそうです。ハリウッドではもうかなり使用されてますが(最近ではノウイングとか)、そうなのか、日本ではこれが初めてなんですか。

Tikujoseyofly

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.07.17

開港博<Y150>『BATON第3章』観ましたが・・・

7/13(月)に『BATON(バトン)』第3章を観てきました。まあ内容は最悪でしたね。1章で謎を振るだけ振って、2章で少し話しを進めて、3章でどんな展開を見せてくれるかと思っていたら・・・。ほんとうにこんな脚本を岩井俊二が書いたの?と疑いたくなる出来です。どこまでが脚本でどこからが監督(北村龍平)の仕事かは知りませんが、単に過去の(1章の前)話しを記憶として語るだけ。そこには何のワンダーも感動もなければ進展もない。「ロボットの意識」というある意味使い古された題材を時間軸を入れ替えて並べただけ。「えー!これで終わり!?」という落胆だけが残りました。これで2400円かよ。

しかも、予想通りというか、予想より早くと言うか、第2章もそのまま上映を続けてるしさ。びっくりしたよ。一体当初のスケジュールは何だったんだよね。せめてしばらくの間は3章だけの上映にしなさいよ。それかもっと事前に告知を出すとかさ。3章の先行上映が決まった時にはそんな情報は無かったよね?何だか行き当たりばったりの運営という印象がするよね。

しかもしかも、もうDVDが会場内のスリーエフで販売してるそうな。まだ上映中の作品のDVDをその場で売るなんて、会場まで来て観なくてもいいって言ってるようなもんじゃない。1章からちゃんと2400円払って観てる人にどんな言い訳をするわけ?ou ubeに流れるのも時間の問題ですなあ。

『BATON』第3章「サイファ」7/11(土)より上映開始! (Y150公式サイトWhat's New:2009.07.09)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.07.10

エヴァンゲリヲン新劇場版<破>の感想のようなもの

やっと『エヴァンゲリヲン新劇場版<破>』を観てきました。とりあえずの感想。ネタバレになるかもしれませんので一応間を空けます。

Evangelion20_hafly2

あの「翼をください」がかかった時、一瞬「これは『ラブ&ポップ』か!?庵野監督!」と思いましたが、 『ラブ&ポップ』は「あの素晴しい愛をもう一度」でしたね。でもどちらも1971年の曲というのは偶然ですか?確信犯ですよね?

それにしても「今日の日はさようなら」といい、合唱曲ばかりですね。これは曲の内容というより「合唱」という点に意味があるのでしょうね。個と全。でも、セリフも全体的にTV版に比べて多くを語っちゃってますし、歌詞の内容にもかなりの意味を仮託してるんですかね。それはあまりにもベタと言えばベタなんですが、一般受けさせるためにはそれも必要なのかな。分かりやすくするというか。まあ、そのベタさ具合が余計に深読みを誘うようになっているのですが。と、とりあえず今日はここまで。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.14

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』感想

ヤフー映画の評価がかなり低かったのでどーなんだろう?と思って観に行きましたが、それなりに面白かったです。「気持ち悪い」とか「グロい」とか言ってる人は一体普段どんな上品な映画を観ているのだろうと思いますし、「難解」と言ってる人は、何をもって難解と言っているのか分かりません。いや、実際自分もこの映画が何を言いたいのかはよく分かりません。でもストーリー自体は、ジョシュ・ハートネットの過去が多少時間軸を前後して挿入されている以外は構成も普通だし、分かりやすいです。ただし、内容の理解は「キリスト教」を知らないと難しのでしょう。

自分もキリスト教については通り一遍の知識しかありませんが、この映画がキリスト教(イエス・キリスト)をモチーフにしていることは分かります。多分ほとんどの人がそれは分かるでしょう。そうすれば、後は誰がどんな役割を担っているかとか、それが何を意味するのかとかの問題です。そしてそこがこの映画の、特に非キリスト教徒たる日本人にとっての難しいところ。(注意:以下、ネタバレ含む
I_com_with_the_rainfly_2
(このチラシからして十字架ですからね。)シタオがイエスとすれば、その父親は「神」ですね。映画の中でも一度も姿を現しませんしね。しかも息子たるイエスが傷を負って死にそうになっても助けにきません。では、シタオはいつイエス(キリスト)になったのか?普通に考えればフィリピンのジャングルで殺された時ですよね。ここでタイトルの「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」なのだと自分は思います。生命力あふれるジャングルの中で雨に打たれながらシタオはイエス(キリスト)として再生したのです。というか雨とともに神がシタオに降りてきた。「雨」=「水」は生命の源ですからね。と、考えるとアイ・カム〜の「I(アイ)」とは神であると共に生命そのもののことなのかもしれません。

ここで疑問。ジャングルでシタオに降りてきた「神」とシタオの「父たる神」はイコールなのか?そんなわけありませんよね。とすればシタオに降りてきた神は従来の神とは別の「新しい神」なのか。そうだとすればこの映画は従来のキリスト教の神を否定してることにもなりますよね。「シタオの父」は一代で巨大製薬会社を立ち上げた人(神)で、その彼が今は「汚染」が怖いといって隔離された部屋から出てこようとはしない。つまりそれは現代は「従来の神」が創った「世界」が「汚染」されてしまい、もう手の施しようがなくなってしまってるわけですね。薬が効かない。で、「新しい神」がシタオに降りてきて薬ではなく「生命力」そのものの復活を促す。そしてシタオの「受難」が始まる。

と、するとクライン役のジョシュ君の立場は?その伝道者?つまり使徒ヨハネ?(スペルも似てる・笑)

ではシリアルキラー(殺して損壊して組み合わせて死体芸術を作る)のハッシュホードは誰か?洗礼者ヨハネ?首を切り落とされるし、ある意味シタオの先駆者。でも切り落としたのはジョシュ君だし、よく分かりません。

イ・ビョンホンは?金と暴力と女と猜疑心とで現代社会の病理そのもの?汚染源?

リリー(監督の奥さんだって)はマグダラのマリア?

と、まあいくらでも挙げられるわけですが、公式サイトにも詳しい情報は載ってなく、監督の意図は勝手に想像しるしかないわけです。

ではシタオがラスト近くで叫ぶ「ファーザー」とは誰か?「ダディ」でも「パパ」でもなく「ファーザー」。

== + == + == + == + == + == + == + == +

しかしこういうインタビューを読むと、上記のような考察はあまり意味のないもののように思えますね。苦痛を「美」として描きたかったのだとか。その「苦痛」のモデルがキリストだったと。

「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」トラン・アン・ユン監督 (YOMIURI ONLINE:2009.05.29)
== + == + == + == + == + == + == + == +

芸術作品に論理的な整合性を求めても意味のないことなので、キリスト教的な視点でこの映画を解釈するのは無駄なことかもしれませんね。アイディアの元はイエス・キリストにあっても完成した映画はトラン・アン・ユン監督の美意識に貫かれてますからね。まあ、個人的には好きな作品ではありあます。

web上でいくつか読んだ感想の中で、成る程なあーと思わされたのがこの方の感想。

== + == + == + == + == + == + == + == +

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン (toe@cinematiclife:2009.06.09)

== + == + == + == + == + == + == + == +

そーかー、そういう見方かあ、と納得させられました。問題はキリスト教でななく監督の生い立ちと世界の構造の理解にあったのか。

そして同化といえば、何かフルーツ・チャン監督と似た感じもする。香港の高層ビル群(プラザ・ハリウッド)と原っぱの絵なんて、『ハリウッド★ホンコン』を思い出したし。彼も香港と外部世界の関わりを描き続けてきたしね。残酷描写も得意だし。

そういえば『女優霊』のリメイクはどうなってるんですか?監督。


そうそう、サム・リー君が出てましたね〜。最近の彼、こんな使われ方多くありません?『インビジブル・ターゲット』とかね。悔しい〜。『ドッグ・バイト・ドッグ』くらい活躍させろっちゅーの。

| | コメント (1) | トラックバック (2)

2009.05.13

『レイン・フォール/雨の牙』『新宿インシデント』感想

日本人以外の監督が、同じ東京を舞台にして映画を撮ってもこうも違う作品になるかというよい例。2日続けて観たためより一層強く感じた。

レイン・フォール/雨の牙』の関係者は『新宿インシデント』を見習うように!

『レイン・フォール/雨の牙』。あ〜あ、やっちゃった。よくも恥ずかし気も無く公開したなぁ、というのが率直な意見。関係者は出来上がった作品を事前に観たの?観て何とも思わなかったの?そもそもあなた方は映画を観たことあるの?と様々な疑問がわき上がってくる。原作は未読ですが、脚本がもうあり得ないレベルで滅茶苦茶でしょ。暗殺者があんなに人目に付く行動する?CIAとかってチームを組んで動くんじゃないの?あまりにも杜撰で無能な行動じゃない?何で3週間も経ってから殺した男の家に行くの?しかもみんな同時に?その間長谷川京子はどこで何をやってたのよ!そもそも彼女等が今更命を狙われる理由が分からんし助ける椎名桔平の理屈も分からん。

長谷川京子、何でそう簡単に椎名桔平を信じる。何でいとも簡単、ためらいも無く拳銃を手にできる?新幹線でどこまで行ったんや?何で行って直ぐ東京に戻ってくる???そんなことより!何で長谷川京子をソフトフォーカスで撮る必要があるねん!!アホか。椎名桔平、あんた暗殺者なのに何でそんなにお喋りなの?ぺらぺら自分の過去を喋るか?

そして最も重大で根本的な誤り。あの程度のメモリースティック(USBメモリ?)の内容で日本政府を操られるわけないだろう!ていうかそんなことしなくても既に日本は対米従属してるっての!あんたらの言いなりやん。それ以前にあんなに簡単にUSBメモリで情報が盗めちゃいけないでしょ!

と、切りがないくらいツッコみどころ満載のほのぼの映画です。観てる間も観終わってからも何も残らない潔さ。『ボーン・アイデンティティ』とか『ワールド・オブ・ライズ』とかまでは言わないからさ、せめてもう少し勉強しようよ。リアリティとか緊張感とかさ。脚本も監督もマックス・マニックスって人だが、11年間日本に住んでたかどうか知らないけど、この原作を映画化するには全然経験不足もいいところだよん。で片付けられる問題か!

それに比べて『新宿インシデント』は面白かったでっせ。世間的にはジャッキー・チェン映画ってことなのかもしれませんが、自分的にはイー・シントン監督作品としての注目です。先日も『プロテージ/偽りの絆(原題:門徒)』を観たばかりですし。ジャッキーがアクションを封印とかどうとかは些末な問題なのにね。でも今までイー・シントン監督作品が単館系でしか公開されてこなかったことを考えれば、まだまだ少ないとはいえ全国ロードショーされたのもジャッキーのお陰ですね。

で、『新宿インシデント』は『プロテージ』、『ワンナイト・イン・モンコック』とで“黒夜三部作”と言われているらしい。ダニエル・ウー、三つとも出てる。出稼ぎ、モンコックと歌舞伎町、マフィアとやくざ、勢力争い、暗殺etc。『ワンナイト・イン・モンコック』と『新宿インシデント』は似てますね。

混沌とした街の混沌とした人間の感情や行動。みんな「幸せになりたい」という思いは同じなのにそれが引き起こす悲劇の数々。思いもよらぬ方向に転がっていく物事の数々。気がついたら人々はあまりにも遠いところに来てしまっている。観終わったあと軽い疲労感を覚える程の濃厚なドラマ。観てる側に様々な感情を呼び起こす力。『レイン・フォール』に決定的に欠けているものがここにはある。二つの作品を比べること自体間違ってる気はしますがね。

そうそう『ウォーロード/男たちの誓い』もその直前に観てるんだけど、アンディ・ラウ(『プロテージでは白髪糖尿病で痛々しい姿で演じていた)の奥さん役のシュー・ジンレイが『新宿インシデント』ではジャッキーの幼なじみ役で出てた。何だか同じような目つきの人だなぁと思ったら!

それにしてもイー・シントン監督は手首を落とすのが好き?ですねー。『プロテージ』でももっとエグいやり方で手首が、手首が、俺の手首が〜・・・・・!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.04

『エンプレス 運命の戦い』感想

エンプレス 運命の戦い』観ました。

監督のチン・シウトンて凄いです。『少林サッカー』『HERO』『LOVERS』『王妃の紋章』『どろろ』『ウォー・ロード』『カンフー・ダンク』とかのアクション監督らしいですよ!

そんな凄いアクション監督が撮った映画だからといって作品的に面白いかというとそうでもないのが辛い。

冒頭から戦いのシーンで、アクションがあり王位継承の問題があり謀殺があり、となかなかな展開で期待は持てたのですが・・・。ケリー・チャン演じる王女が、かなりいい加減なキャラ設定で、一度は民の為に王になることを決意し武術を学んだりするけど、暗殺されそうになった時に助けられたレオン・ライ演じる謎の隠遁戦士とラブラブとなるやヒューマニズムに目覚め国を捨て出奔、と何の自覚もないちょー自己中女。画面も突然香港ラブストーリー的になり、一応「燕」とか「趙」とか中国戦国時代の設定なんだけど、そんなことどうでもいいような脱力感が漂うファンタジックな感じになったりとかなりアンバランス。そんな女王に振り回される周りはたまったものではない。王の甥一派がクーデターを企むなか、一人髪を振り乱して国と王女の為に闘う将軍ドニー・イェンや側近たちが哀れというか悲しみを誘う。

変なアサシン軍団とか、アクションシーンとかの見せ所はあるけど、行き当たりばったり的な展開に時として唖然とさせられる。まあ、ラスト、ドニー先生の不死身のファイトが見れたのでよしとしよう。
Empressfly

土日祝日に先着でB4版ポスターのプレゼントを行っています。5/2(土)にはまだ貰えました。まだあるかどうかは分かりません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧