『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』感想
ヤフー映画の評価がかなり低かったのでどーなんだろう?と思って観に行きましたが、それなりに面白かったです。「気持ち悪い」とか「グロい」とか言ってる人は一体普段どんな上品な映画を観ているのだろうと思いますし、「難解」と言ってる人は、何をもって難解と言っているのか分かりません。いや、実際自分もこの映画が何を言いたいのかはよく分かりません。でもストーリー自体は、ジョシュ・ハートネットの過去が多少時間軸を前後して挿入されている以外は構成も普通だし、分かりやすいです。ただし、内容の理解は「キリスト教」を知らないと難しのでしょう。
自分もキリスト教については通り一遍の知識しかありませんが、この映画がキリスト教(イエス・キリスト)をモチーフにしていることは分かります。多分ほとんどの人がそれは分かるでしょう。そうすれば、後は誰がどんな役割を担っているかとか、それが何を意味するのかとかの問題です。そしてそこがこの映画の、特に非キリスト教徒たる日本人にとっての難しいところ。(注意:以下、ネタバレ含む)
(このチラシからして十字架ですからね。)シタオがイエスとすれば、その父親は「神」ですね。映画の中でも一度も姿を現しませんしね。しかも息子たるイエスが傷を負って死にそうになっても助けにきません。では、シタオはいつイエス(キリスト)になったのか?普通に考えればフィリピンのジャングルで殺された時ですよね。ここでタイトルの「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」なのだと自分は思います。生命力あふれるジャングルの中で雨に打たれながらシタオはイエス(キリスト)として再生したのです。というか雨とともに神がシタオに降りてきた。「雨」=「水」は生命の源ですからね。と、考えるとアイ・カム〜の「I(アイ)」とは神であると共に生命そのもののことなのかもしれません。
ここで疑問。ジャングルでシタオに降りてきた「神」とシタオの「父たる神」はイコールなのか?そんなわけありませんよね。とすればシタオに降りてきた神は従来の神とは別の「新しい神」なのか。そうだとすればこの映画は従来のキリスト教の神を否定してることにもなりますよね。「シタオの父」は一代で巨大製薬会社を立ち上げた人(神)で、その彼が今は「汚染」が怖いといって隔離された部屋から出てこようとはしない。つまりそれは現代は「従来の神」が創った「世界」が「汚染」されてしまい、もう手の施しようがなくなってしまってるわけですね。薬が効かない。で、「新しい神」がシタオに降りてきて薬ではなく「生命力」そのものの復活を促す。そしてシタオの「受難」が始まる。
と、するとクライン役のジョシュ君の立場は?その伝道者?つまり使徒ヨハネ?(スペルも似てる・笑)
ではシリアルキラー(殺して損壊して組み合わせて死体芸術を作る)のハッシュホードは誰か?洗礼者ヨハネ?首を切り落とされるし、ある意味シタオの先駆者。でも切り落としたのはジョシュ君だし、よく分かりません。
イ・ビョンホンは?金と暴力と女と猜疑心とで現代社会の病理そのもの?汚染源?
リリー(監督の奥さんだって)はマグダラのマリア?
と、まあいくらでも挙げられるわけですが、公式サイトにも詳しい情報は載ってなく、監督の意図は勝手に想像しるしかないわけです。
ではシタオがラスト近くで叫ぶ「ファーザー」とは誰か?「ダディ」でも「パパ」でもなく「ファーザー」。
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しかしこういうインタビューを読むと、上記のような考察はあまり意味のないもののように思えますね。苦痛を「美」として描きたかったのだとか。その「苦痛」のモデルがキリストだったと。
◇「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」トラン・アン・ユン監督 (YOMIURI ONLINE:2009.05.29)
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芸術作品に論理的な整合性を求めても意味のないことなので、キリスト教的な視点でこの映画を解釈するのは無駄なことかもしれませんね。アイディアの元はイエス・キリストにあっても完成した映画はトラン・アン・ユン監督の美意識に貫かれてますからね。まあ、個人的には好きな作品ではありあます。
web上でいくつか読んだ感想の中で、成る程なあーと思わされたのがこの方の感想。
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◇アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン (toe@cinematiclife:2009.06.09)
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そーかー、そういう見方かあ、と納得させられました。問題はキリスト教でななく監督の生い立ちと世界の構造の理解にあったのか。
そして同化といえば、何かフルーツ・チャン監督と似た感じもする。香港の高層ビル群(プラザ・ハリウッド)と原っぱの絵なんて、『ハリウッド★ホンコン』を思い出したし。彼も香港と外部世界の関わりを描き続けてきたしね。残酷描写も得意だし。
そういえば『女優霊』のリメイクはどうなってるんですか?監督。
そうそう、サム・リー君が出てましたね〜。最近の彼、こんな使われ方多くありません?『インビジブル・ターゲット』とかね。悔しい〜。『ドッグ・バイト・ドッグ』くらい活躍させろっちゅーの。
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コメント
こんにちは。
「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」の感想をご紹介いただきましたtoeです。
ありがとうございました。
世間では、酷評ばかりと言われている映画ですが、個人的には面白かったので、ご賛同いただけて嬉しかったです。
なんだか、理解してもらえないトラン・アン・ユンが気の毒でさえあります。
ザンギさんのキリスト教からの視点こそ、なるほどなぁと思いました。
私には、トラン・アン・ユンの生い立ちの反映としか見えなかったので、次回、見る機会があったら、キリスト教的視点を頭に入れて見たいと思います。
しかし、サム・リーには、残念でした。
投稿: toe | 2009.06.16 11:52 午後
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投稿: ClaudeJeoke | 2019.03.22 12:24 午後