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2007.09.03

『サッド ヴァケイション』感想

Sadvacation2 9/8(土)公開で、現在行われているヴェネチア国際映画祭でも上映される『サッドヴァケイション』。試写会で観ました。

Helpless』ミーツ『EUREKA  ユリイカ』みたいなわけですが、単独作品としても成立しているのでこれだけ観ても十分楽しめ?ます。まあ、両方観ている人間としては、『Helpless』は観ておいても損はないかな、と。『EUREKA  ユリイカ』は特に観てなくても問題はないかな、と。まあ、これは自分が『EUREKA  ユリイカ』の部分をほとんど分からなかったって意味ですので、『EUREKA  ユリイカ』を観ておいた方がより面白く観れるのは間違いないと思います。でも比重的には『Helpless』の方がメインな話しなので、『EUREKA  ユリイカ』が長いと思いの方は『Helpless』の方を観ることをお勧めします。でもレンタルしてないとこもかなりあるようなのでご注意を。

冒頭の荒れて殺伐とした画面は『Helpless』を彷彿とさせる。それに続く空撮のシーンが(『Helpless』の冒頭も同じような空撮ということで)それを物語る。そしてその後の“健次”が歩き出す。しばらくは割と淡々と、これまでの青山作品っぽい画面が続く。それが、母親役の石田えりが現れてから微妙に雰囲気が変わってくる。今回の作品に関して頻繁に語られる“母性”の本丸の出現だ。健次は自分を捨てた母親への復讐を企てる。

まあ、話しは観てのお楽しみってことですが、これは観る人によってかなり印象が違うのかしらん。男と女。その人の母親との関係etc。監督とのティーチイン付きの試写会で観たんですが、女性の方が「癒しを感じた」みたいな感想をおっしゃってて、監督も特にそれを否定しなかったし、監督自身が「自分も結婚して考え方が変わった云々」みたいなことを言ってましたし。

でも、普通に観ればこれはかなり“ホラー”だと思うんですがね。怖いですよ、石田えり。親不孝者でごくつぶしで独身の男からみればかなり怖い。チラシの裏に「“北九州サーガ”の集大成は“やさしさ”」って言葉が書いてあるけど、そんな“やさしさ”はご勘弁って感じ。まさに釈迦の掌の上の猿って感じで、全てが徒労に終わる無力感と苛立と諦め。それが“やさしさ”であるなら俺は更に遠くへ行くか、さもなければ完全に降伏するしかない境界。しかしやさしさ(母性)というエゴが全てを笑い飛ばす。

足掻けばあがくほど健次の姿は滑稽で、『Helpless』との差異を顕著にしていく。物語の最初と最後では同じ作品とは思えない違いがある。それが監督の狙ったものなのかどうかは別として、今までにない青山真治作品を形作っているのは確か。

<見所その1>光石研と斉藤陽一郎の漫才?シーン。台本はほとんどなかったそうです。光石研さん、最高。

<見所その2>間宮運輸の川津祐介と嶋田久作。川津さんの渋さとほとんどセリフのない嶋田久作の不思議な存在感。

<見所その3>監督の奥さんのとよた真帆が妊婦役で出てます。これってリアル妊娠?なわけないか。

<参考記事> ◆石田えり本音トーク全開! “邪悪な女”と“理想の母親”どちらに見える?(cinemacafe.net)

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