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2007.04.01

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(試写会)感想

Tokyotowerobto2原作本は未読。テレビドラマも未見。リリー・フランキーの他の本も読んだことがありません。

大変よくできた作品だと思います。(いい意味で)突出した演出もなく、主役から脇役までが絶妙のバランスで配置されてます。その中でもオカン役の樹木希林内田也哉子のほんわか感が作品の大きな魅力になっています(この二人が実の母子だとは知りませんでした。道理で似てるわけです。スミマセン勉強不足で)。

原作本の方は”泣ける”とか”感動的”等の感想が多いようですが、映画の方はそれ程「感動的」にも「泣ける」ようにも作ってないように思います。ごく自然に、さりげなく心に染み込んでくる、ような。それは随所に笑いを散りばめた松尾スズキによる脚本に拠るところも大きいのかもしれませんが。

しかし、意地悪な見方をさせてもらえばこんな幸福な親子関係なんてそうそうざらにあるものではないと思います。まあ著者の自伝的小説なので描かれていることは基本的に現実に即しているんだと思いますし、母と息子の普遍的な物語ではありますが、やはり「社会的に成功した者」の物語であることを免れ得ないです。だって東京タワーの見える一日4万円の部屋に入院させたり、看病のために広い部屋に引っ越したりなんて誰もが実行できることじゃないでしょ?友人も沢山いて(それもオカンの魅力だったりするんですが)、しかもみんないい奴だし。オトンも憎めない男だし。ホント、人間の美しい面だけを取りあげたような作品です。まあそれ故に心を打たれるのですが。

だからリアルに考えれば夢物語のようで腹も立つんですが、それはひがみであり嫉妬であるわけで、全ての地方上京者にとっては正しく理想的な物語なので、そういう意味では実にイヤラシい作品です。

*監督とのティーチイン付き試写会で観たのですが、松岡錠司監督がこの作品の監督をするようになったいきさつや、撮影中や地元試写での出来事、公開日の4/14がリリー氏の母親の命日の前日にあたる等で「僕がこの映画を選んだというよりも、映画が僕を選んだ」といった意味のことをおっしゃってました。運命かしら。

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