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2007.03.28

『ラストキング・オブ・スコットランド』感想

Lastkingofscotland2主演のフォレスト・ウィテカーはこの作品で2006年度(79回)アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。その割には上映館も少なく寂しいものです。作品賞のディパーテッドより全然面白いのに。

この作品の魅力ははやりアミン大統領を演じたフォレスト・ウィテカーの魅力でしょう。人を惹き付けるカリスマ性と、権力者に特有の猜疑心から粛正による虐殺の王になっていく狂気を見事に演じています。下記に書く欠点にもかかわらずこの作品が強烈な印象を残すのは、そのパワーみなぎる存在感によるものでしょう。

物語自体はいささか舌足らずの感があります。白人医師の青年があの立場でアミン大統領の行いを全く知らなかったとは考えにくいし、アミン大統領による虐殺を終盤だけにもってきてるのもバランスが悪いです。もう少し国内外の動きや大統領の行動を平行して描いてくれないと全体像がつかめません。アジア人追放やハイジャック事件、イギリスによる謀略等々も唐突な感じになっちゃってます。これから観に行く方は公式サイト等で事前に簡単な歴史の勉強をしていくことをお勧めします。

アフリカを舞台、クーデター、白人の視点、虐殺、脱出、とくれば最近では『ルワンダの涙』とも共通するところがあります。こっちはウガンダだし。ただし『ラストキング〜』の白人青年医師及び彼の行動は全くのフィクションだそうです。

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『デジャヴ』感想

Dejavu2基本となる話し自体は目新しいわけではありません。その見せ方がうまいというか巧み。ネタばれになるので詳しくは書けませんが、かなりトンデモ系だと思います。突っ込み所も多々あります。ただそれらに疑問を感じてる間に話しがどんどん進んでいくので、そのスピード感と強引さに圧倒され無理矢理納得させられてしまうのです。いや、個人的には全く納得はしてませんが、「これだけやってくれたんだからまあいいか」と思わせる面白さはあります。思うに「4日と6時間」というタイムリミットを用意したのがよかったんでしょうね。そこに向かって収束していかざるを得ない物語が否応にも緊張感を高め、細かな矛盾点を置き去りにしてしまうんですわ。映像的にも面白いし。

そう、映像的には、やはりジェリー・ブラッカイマーと組んだ『エネミー・オブ・アメリカ』と似てますね。衛星を使った俯瞰からの映像とかカット割りとか。

また、ミステリー調の展開がいきなりトンデモ系に転調するあたりは『フォーガットン』を彷彿とさせるものがありますが、あれよりはまだ科学的説得力のあるテクノロジーに基づいたトンデモ技術なので観てる方も騙されやすくなってます。でも個人的には同じ範疇の作品だと思いますが・・・。

解説では主人公のデンゼル・ワシントンが「女性の死体を見た時、強烈なデジャヴに襲われた」とあり、それがタイトルにもなってるんですが、画面からはデジャヴを感じたようには見えなかったんですが・・・。だから観終わって「全然デジャヴと関係ないじゃん!」と叫んでしまいました。まあ余談ですが。

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『口裂け女』感想

Kuchisake2基本的なアイディアは悪くないと思います。口裂け女の誕生や何故口裂け女は子どもを襲うのかとか、不死身な理由とか。でもそれらのアイディアが一つの作品としての面白さにつながっていってないのが痛い。全てが必然的に繋がるのではなく、ストーリー上の必要に合わせて都合よく展開していくって感じ。それは”口裂け女”の出現や行動に法則性やルールがないからだと思うのだが、やはりホラー映画としてはある程度の縛りは必要なのではないだろうか。もちろん法則性がないからこその怖さがあるのも確かなのだが、本作の場合はそれが”怖さ”のためではなくご都合主義に見えてしまうのだわさ。都市伝説としての口裂け女と実体としての口裂け女のリンクのさせ方もいまひとつ面白みがない。

それとあまりに見え見えのラスト。あれはわざと?あまりにもフツーのラストにびっくりした。かなりエグいシーンも多くて、その点は頑張ってるんだから、もう少し脚本を工夫して欲しかった。これが考え抜いた上での脚本なら、その狙いは外れていると思う。『ノロイ』の白石晃士監督ということで期待していただけに残念。

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2007.03.27

『相棒-シティ・オブ・バイオレンス』感想

Aibou2試写会で観た『かちこみ/ドラゴン・タイガー・ゲート』に展開・美術等似ている部分があるので引き合いに出すことをご容赦下さい。

韓国版かちこみ。香港のかちこみは漫画が原作というこもありアクションもワイヤーバリバリのマンガチックなものになっているが、こちらはCG、ワイヤーは極力控えてリアルヒッテングに撤しただけあってリアルで緊張感の高いものになっている。ストーリーも「思い出」「友情」「裏切り」「敵討ち」etcと『かちこみ』と共通のコードを使いながらより熱い男の物語を紡いでいる。しかもより救いがないときている。全編に渡り迫力のアクション満載で、映像的にもおもしろく、悲惨な話しながら随所に笑いを誘う箇所もあり、なかなか濃い作品に仕上がっている。リュ・スンワン監督作品はこれが初めてだが、今後も注目したい。主演&武術監督のチョン・ドゥホンも凄い。

ただ、キーとなる幼なじみの、そこまでに至る心の変遷がいま一つ追い切れない部分があるのが、それが物語の核心でもあるだけに残念。

 

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2007.03.25

能登で震度6!

北陸で大きな地震です。俺の実家も能登で震度6だよ!幸い海からは離れてるから津波の心配はないと思うけど。滅多に地震なんかないところなのに。実家に電話も通じない。

今、臨界隠しで話題の志賀原発も大揺れだな。大丈夫かよ放射能。1号機、2号機とも幸か不幸か運転停止中でよかったのかな。

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『秒速5センチメートル』感想

5cm2絵は確かに美しい。細部まで描き込まれた町並みや風景はロケハンの成果を十二分に現しています。曲とのマッチングもよく感動的なシーンを生み出しています。それだけでも観る価値はあるかもしれません。では何が不満かというと、そのあまりにも単純なストーリー。監督は、

「実は日常にはそれ程ドラマも劇的なこともない。それでも生きていくに足る美しさがある。その今の現実の側面をアニメーションとしてすくい取りたかった(意訳)。云々」
「観終わった後に、見慣れた風景がいつもより輝いて見えるような、そんな日常によりそった作品を目指しています」

と言っていますが、曲はドラマチックに演出されているし、ラストは尻切れとんぼのようで、とても暗い感じなんですが。そう、第一・二話に比べて三話の落差が激しくて、とても日常が輝いて見えそうにないのよ。そうでしょう?男子諸君。そう思ったのは俺だけ?雰囲気だけで押し切った前二話から一転リアルな第三話。ひどい違和感がしました。

個人的にはやはりアニメーションには日常性からの離脱を求めますし、美しい現実の側面を描くならもっと男の子にも希望を持たせて下さい。それと主演の水橋研二くんは役者としては好きなんですが、今回の声の役には合っていないように思います。予告編の時から思っていたんですが、やはりヘンでした。

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2007.03.24

『許されざるもの』感想

Unforgiven22005年の釜山国際映画祭で最多の4冠受賞という作品ですが、徴兵制のない国の人には今ひとつピンとこないのは仕方のないことでしょうか。これが大学の映画学科4年生の卒業制作っていう点は素直に評価していいとは思います。学生の自主制作ぽさはなく、とてもしっかりした作りだと思います。でも徴兵制はなくても学校で日常的にいじめが横行し、自殺する子どもたちが後を絶たない日本のことを考えれば、この作品の中で描かれている軍隊はまだまだ平和な世界に思えてしまうのですが。のどかな田舎の学校のささやかな悪ガキたち、みたいな。韓国の学校では日本のようないじめはないんですかね?もっと陰湿で執拗ないじめが行われている国の人間からすると、その程度で根をあげるのは何故?と思ってしまいます。
でも、現実に映画祭でそれだけ支持されたってことは韓国国民・徴兵経験者の共感を得たってことでしょうから、そおいうことなんでしょうね。軍隊生活がもたらす弊害や韓国社会の矛盾点なんかを浮かび上がらせてるらしいので、その辺も評価されたんでしょうが、いかんせん描かれているイジメにインパクトがないので困ってしまいました。残念。

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『ポイント45』感想

Point45監督によるとどうやらこの作品はDV被害に苦しむ女性のサスペンスな復讐劇らしいです。それは分かります。が、DVの部分をじっくりと丁寧に描き過ぎてて、”復讐”の部分があまりにもお粗末な仕上げなので非常にバランスの悪い作品になってます。96分というコンパクトさはうれしいですが、それだったらもう少し復讐への伏線とか仕掛けを張っていかないと、ミラ・ジョヴォヴィッチがどのくらい”したたか”で”利口”なのか全然分からないよ。所々にインタビュー形式の場面を入れてるけど、その使い方も効果的じゃなくてわざとらしいし。もう少し長くなってもいいから復讐の過程もちゃんと描いて欲しかった。カットしたのかな?まあ、一番の問題点は復讐の仕方に全然工夫がないってことかな。サスペンス感もまったく無いし。残念でした。『バイオハザード3』
に期待しましょう。

DV=ドメスティック・バイオレンスのことです。念のため。

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2007.03.23

『超劇場版ケロロ軍曹2-深海のプリンセスであります!』感想

Keroro2前作同様ゲストキャラがポケモンにしか見えないのがどうしても許せないが、同時上映のちびケロ-ケロボールの秘密、との併せ技一本ってことでよしとしましょう。それぞれのキャラの持ち味がうまく出せてたと思いますし。
それにしても今回はガンダムネタは封印したのですかね?それとはっきり分かるものは出てなかったと思うのですが。

で、下が私がもらった先着60万人の入場者特典の「おきあがりケロロ小隊」のドロロ兵長、でござる。オバQのドロンパに見えてしまうのは俺だけ?
Dororo

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『松ヶ根乱射事件』感想

Matsugane2山下敦弘監督の大部分の作品に共通するのはその独特の間と作品全体に漂うダウナー感だと思います。舞台になるのも都会ではなく閉塞的な地方都市。その中でもがき続ける人間模様。その観点からするとこの『松ヶ根乱射事件』は初期の『どんてん生活』『ばかのハコ船』の系列に属するものだと思います。『松ヶ根〜』の木村祐一と川越美和のカップルは『ばかの〜』の山本浩司と小寺智子のその後の姿にも見えますし。

今回も劇的な演出(事件)はなく、淡々と話しは進み人々は壊れていく。この味わいが魅力であるのだけど、いささか飽きてきたというのも正直なところ。特に今回はそのタイトルにちょっとしたオチ?があるのだけど、「全部それをいうための前振りかい!?」みたいに感じてしまい、それはそれで壮大なおかしさではあるのだけど、個人的にはちょっとマイナスになってしまったようです。次回の『天然コケッコー』を楽しみにしてます。

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2007.03.21

『ダウト』感想

Doubt2こういうのは難しいですよね。でも謳い文句にある”『ユージュアル・サスペクツ』を超えた”というのは明らかに”ダウト”です。それは確か。こういう話しには物語の展開に必然性と説得力が必要。話しは面白いし緊張感もあるんだけど、全体的に場当たり的な印象。地方検事補になるにはちゃんと身元を調べられないのかね?どんでん返しもいいんだけど、その必要性が疑問。どんでん返しのためのどんでん返しのよう。しかもあれではいくらでも返していけそう。その辺の脚本の詰めの甘さが残念。

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『蒼き狼 地果て海尽きるまで』感想

Aokiookami2まあ、角川春樹ですから。と言ってしまうと身もふたもないが、30億円かけたっていう割には大作感がないのも確か。オールモンゴルロケならではの雄大さはそれなりにあったが、モンゴル帝国を築いたチンギス・ハーンの物語としての”大きさ”はなかった。CGを使わない人海戦術での戦闘シーンは俯瞰で見ると中々の迫力なんだが、全体的に単調で工夫が足りない。もったいない。最後の戦いも何がどうやって勝ったのか不思議。反町隆史が全然年相応に老けていかないので主人公としての重みがないし。

日本人が日本語で演じることへの疑問を呈する人がかなりいらっしゃるが、日本映画で日本の監督が日本人向けに日本人を使って撮ってるんだから至極当然だと思いますが。イースト・ウッドの『硫黄島からの手紙』とは違うんですから。昔のハリウット映画だってドイツ人もフランス人もイタリア人もみんな英語でしゃべってたしねぇ。公開する国のマーケットに合わせて作るのは当たり前では。ってそういう昔のハリウッド映画のレベルかよって話しもありますが、そこは角川春樹ってことで、『硫黄島〜』なんかのレベルを期待する方が酷だと。

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『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』(試写会)感想

Kachikomi2_1『ゴーストライダー』がアメコミならこちらは香港の国民的コミック「龍虎門」を映画化したもの。だからドラゴン・タイガー・ゲート。そのまんま。もちろんコミックの方は読んでないのでアレですが、随所に原作の漫画からの引用らしき画面が。ドニー・イェンの長髪の髪型なんてそうでしょう。とってもヘン。ストーリーもあって無きが如く。敵役なんか何がどうしてどのくらい悪い奴らなのかさっぱり分からない(笑)。まあ、香港の人たちにすれば言わずもがなのことなんでしょうけど。それにこちらとしてもアクションを見に行くような感じですからそれはそれでいいのですがね。
で、肝心のアクションですが、よかったですよ。元が漫画なのでかなり漫画チックではありますが楽しめました。難しいことを考えずに流れに身をまかせましょうってことで。

監督はウィルソン・イップ。最近では『SPL/狼よ静に死ね』。少し前では『OVER SUMMER』。

3月映画最終ランキング(銀ネコスクリーン:2006/05/05)

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2007.03.19

『ゴーストライダー』感想

Ghostrider2似たような話しが多いよ!とお嘆きの方もいらっしゃいましょうが、肩にゴーストライダーの入れ墨を入れてる程のお気に入りってことで、その長年の夢が叶ったアメコミおたくのニコラス・ケイジおじさんに敬意を表して丸印を進呈いたします。まあ、自分も好きだね、こうゆうの。特に西部劇風になるところが好き。

それにしても全米ではコケた『ウィッカーマン』の日本公開はどうなってるんでしょうかね?

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『パフューム〜ある人殺しの物語』感想

Perfume2濃厚でした。特に前半から中盤までの重苦しい緊張感と生き苦しい展開。”臭い”という目に見えない対象を巧みに表現していたと思います。でもラストに関しては、やはり目に見えないものだけにいささか漫画じみて見えたことは否定しません。惜しい。

”調香師””臭い”という関連で牧野修著『アロマパラノイド』を連想しました。っていうか絶対影響受けてるよね。

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2007.03.15

『不都合な真実』の真実はどこにあるのか?

Aninconvenienttruthこの映画のことを知った時はとても公開が楽しみでした。でも一度日本公開が延期された時は「あれ?」とかすかな疑問を覚えました。

『不都合な真実』が公開延期に (銀幕小匣2006/09/05の記事)*つまりアカデミー賞を受賞するだろうからそうすれば日本での観客動員が増えるだろうってことだったのね。

予想(予定?)通りアカデミー賞を受賞した今は、ちょっと懐疑的になってます。その原因は以下の一連の記事を読んだからです。

地球温暖化問題の歪曲

欧米中心の世界は終わる?

地球温暖化のエセ科学

地球温暖化の国際政治学

以上、「田中宇の国際ニュース解説」より。

つまり全ては政治とそれを支配する資本家たちの思惑によってるんじゃないかってこと。そして彼らの中に本当に地球のことを考えている奴らなんて一人もいないってこと。もちろん彼(田中宇氏)の言ってることが的を得てるかどうかは分からないし壮大な妄想かもしれない。また限りある資源を無駄遣いしていいわけじゃないし、節約が大切なことであることに変わりはない。

問題は自らの利益の為に情報を操作する輩がいること。そしてそれによって本当に地球が取り返しのつかないこと(あくまでも”人間”にとってだが)になる危険性。知ってて知らんぷりするのはいけないが、知った気になり真実から目を逸らされるのも恐ろしい。一体何が真実なのか?誰にとっての真実なのか?我々は限られた情報から判断するしかない。で、『不都合な〜』のアカデミー賞受賞の翌日に出された記事がこれ

ゴア氏に「電気浪費」批判-削減努力を本人側強調-(共同通信)
ゴア氏のエネルギー消費やり玉に 保守派が攻撃(asahi.com)

ここに出てくる「テネシー政策研究センター」はゴア氏の共和党と対する保守党系の団体らしい。アカデミー会員自体は共和党支持の会員が多い。さてさて。

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2007.03.11

『幽閉者』『カインの末裔』

Prisoner2Cainsdescendant2

幽閉者』『カインの末裔』。どちらも田口トモロヲがエキセントリックな役を演じていて、監督が独自のスタンスで映画を撮っているってところが共通点か。あ、あとどちらの作品も名前と顔が一致する役者が少ない。『幽閉者』なんか大久保鷹(状況劇場の時はファンだったのに!)とか流山児祥とか松田政男とか平岡政明とか四方田犬彦とか渚ようことか秋山裕徳太子とか、ねえ。あ、奥秀太郎監督は「どの映画にも同じ役者が出てくる日本映画の現状はしっくりこない。自分の現場から、映画スターが育っていくのを見たい」って言ってますね。

そしてどちらも何か奥が深くて色々言いたいことがありそうなんだけど、それが何なのか今ひとつよく分からない。それは最近自分が、理解力と思考力を求めるような作品を観なくなったせいかもしれないし、年のせいで頭が固くなってきたせいかもしれない。と言う自己反省は置いといて。
主人公が”どこにも自分の居場所を見つけられない男”というのも共通点してる。そしてどちらも人殺しの先に行き着いた場所が「牢獄」と「川崎」。

幽閉者』はなかなかファンタジックな作りで、監督の主張を柔らかくしてますが、それが返って心の闇というか傷の深さとそれを経験してきた者の厚みを感じさせます。同時にそれが軽々しく作品に対して語ることの難しさにもなってます。語ればこちらの浅はかさがバレてしまいそうな。そうならないように随分分かりやすく作ってあるんだとは思うんですが、キャスト・スタッフの顔ぶれだけで元アングラ演劇青年はビビッてしまいます。

一方『カインの末裔』はかなり直接的にぶつけてきてますね。”ハードコア・ファンタジー”って言ってるけど”ファンタジー”の部分はあまり感じませんでした。それと川崎の工業地帯が舞台なんですが、現川崎市民としては未だに”灰色”のイメージかよ!って感じですね、正直。もちろん夜光なんかの臨海部のモロ工場群地帯は今でも煤煙なんかがすごいのかもしれませんが、少なくとも駅周辺の再開発や工場の移転やハイテク企業の進出で空気もかなり綺麗になってるんハズなんですがねぇ。外から見るとまだまだ公害の町なんですかね。とは言うものの自分も川崎のディープな部分を知り尽くしてるわけでもありませんしね。でも南武線はもうセメントは運んでないんじゃないの?「武蔵野南線のトンネル潜って鶴見で乗り換えて」とかにすれば鉄ちゃんファンが喜んだかも。でもそれじゃ一旦横浜市に入っちゃうしな。でも夜光に行くならその方がリアルだな。鶴見線で京浜工業地帯を横断できる。まあ貨物線だけどね。

まあ、日本の高度経済成長を支えた京浜工業地帯そのものが日本という国の鬼子でありカインの末裔であり、それはつまりこの物語の登場人物はすべからく”汝殺すなかれ”という主の教えを守れない”カインの末裔”であると捉えればいいのかもしれませんが。そしてそのカインの末裔たちが殺し合う絶望の物語ですか。でも主人公は兄弟殺しじゃなくて親殺しなんだけどなぁ。人類みな兄弟ってことですか?いや、そんなことじゃなくて大雑把で身勝手な神についての物語?う〜ん、こうやって書きながら調べながらしているとそれなりに考えられるもんですなぁ。合ってるかどうかは別として。

しかし同じ川崎を舞台にし、南武線とも関わりの深い「京浜工業地帯の父」と言われた浅野総一郎(セメント王!)を主人公にした映画『九転十起の男 浅野総一郎の青春』が109シネマズ川崎で公開されたのに、同じ川崎を舞台にしてるのに『カイン末裔』は渋谷のみの上映。ってこんなマイナスイメージの作品を上映なんかするわけないって?チッタあたりには英断を期待してたが・・・。
でもやっぱり川崎は”カイン末裔”なのか?!と思われるイベントがあります。

探偵事務所5の新作『カインとアベル』がチッタでプレミアム上映&トークショー(探偵事務所5コミュニティサイト)

内容は知りませんが、時を同じくして「川崎」と「カイン」という単語が結びついた作品が公開されることに何か意味があるのかも、と思ってしまいました。もちろんチケットは入手済み。

ちなみに川崎市川崎区夜光はこの辺りですね。
神奈川県川崎市川崎区夜光(Google マップ)

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『キャプテントキオ』『龍が如く-劇場版-』

Captaintokio2Ryugagotoku2_1

キャプテントキオ』『龍が如く-劇場版-』。どちらもあまり評判は芳しくないようですが、どちらも好きです!どっちも曲がかっこいい!!という理由だけではありませんが。がやはり頭脳警察(PANTA)もクレージーケンバンドもかっこいいよね。”銃を取れ!”が聞こえた時には身震いがしました。

キャプテントキオ』は、以前レイトで『19』を観て割と面白かったので渡辺一志監督のことは気にしていたので。
『キャプテントキオ』、青臭いと言えばかなり青臭い映画。だけどその青臭さが今必要なんじゃないかと思うわけだ。お笑いは詳しくないのでバナナマンを知らなかったのも幸いしたかも。署長役には笑わせてもらしました。自分の笑いのどツボでした。久々のいしだ壱成もよかったです。そして石立鉄男!生きていれば天本英世氏あたりがやってそうな役ですが、石立鉄男も目をキラキラさせて熱演してました。チー坊もまだ頑張ってるし、これを機にもっと映画にも出て欲しいっすね。
ガンダムネタが何ヶ所か出てきますが、それは何故?

龍が如く-劇場版-』。ゲームの方はやったことがありません。ていうかプレステ2持ってないし。なのでゲームとどう違うとかは関知しません。三池崇史映画ってことで。遠藤憲一や荒川良々のコミック班が笑わせてくれました。ひたすらシリアスな北村一輝とゾンビのような岸谷五郎のバトルもかっこよかったよん。というか岸谷五朗のキャラがこの作品を支えたって言ってもいいかも。
確かにゲームを知らない人間にはシナリオも何もないような作品だけど(ゲームの大筋を追ってはいるんだろうけど)、それなりに見せ場はあるし俺は楽しめたよん。
こちらにはキム・ギドクネタが出てきたけど、それは何故?

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『あなたになら言える秘密のこと』『ルワンダの涙』

Anatahimitsu2Shootingdogs2

あなたになら言える秘密のこと』と『ルワンダの涙』の両方を観た方ならその共通点にはお気づきだと思いますが、ネタバレに近いものがありますので詳しくは語りません。

『あなたになら〜』の問題点は、監督の言わんとしたいことが何なのかが今ひとつはっきりしないこと。心の再生のことは分かるが、それにしては主人公の抱えている問題が大き過ぎないか?あの展開だと彼女の秘密そのものが物語の中心(=監督の言いたかったこと)になりはしないか。そしてそちらが中心とすると今度はその後の展開があっさりし過ぎていないか。そのバランスの加減が観る方に戸惑いを覚えさせる。

ルワンダの涙』の原題は”Shooting Dogs"。随分と情緒的な邦題だが、それがこの作品の持つ奥の深さを全然表していないということを配給会社は少しでも考えたことがあるのだろうか?原題のままでいくか独自の邦題を付けるかは難しい問題だが、この場合は明らかに原題のままでいくべきではなかったのか?

と、いう問題はさておき、この作品はルワンダで行われたジェノサイドの問題はもちろん、それ以上に作品中でBBCの記者が言う「ボスニアでは白人だから云々、でもルワンダでは、こんなのただのアフリカ人の死体じゃない云々」のセリフが全てを現しているし、そういう視点から描いている。つまり白人にとっては白人以外は人間ではないのだ。それは単に”人道的立場”という建前で動いているだけで、実際にだれも救いはしない。難民の命を守るための発砲はできないくせに、衛生上の理由で犬には発砲しようとする国連軍。白人の命は守ってもアフリカ人の命は使い捨て。命の値段が明らかに違う現実。自分たちの勝手な都合と利益のためにバラバラにしたアフリカなのに、手がつけれなくなったら知らんぷり。あー恐ろしや。って白人面した黄色いサルの我々も過去に同じようなことをしてきたし、同じように白人たちから見られてるってことで他人事ではないんだよね。

神父役のジョン・ハートが素晴らしい。最初はのほほんとした顔をしていたのが状況が差し迫るにつれて戸惑い落胆そして絶望へと変化していき、そして最後に見せる笑顔。

本作品が映画デビューのクレア=ホープ・アシティ。ツチ族の少女役の子だが、『トォモロー・ワールド』の”希望の子”だったのね。既に映画以外のキャリアは十分あるし、エリートなんですね。

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『デッド・オア・アライブ』『となり町戦争』

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デッド・オア・アライブ』は冒頭の”石狩山脈”でもうノックアウトされました(笑)。それからはなされるがままに笑ってました。これだけやってくれれば文句はないでしょう。みなさん力を抜いて楽しみましょうって感じで。はいOK。ひとつ残念だってのがケイン・コスギ君。終止顔が怖い。そうゆう役なんだけど、もう少しあなたも力を抜いて、ね。でもハリウッドデビューおめでとう!

となり町戦争』は原作を読んじゃってるからねぇ。何とかオリジナリティを出そうとしたんだろうけど、コメディタッチにする必要があったんですかねぇ?フツーにやればそれだけで可笑しいと思うんですがね、この題材は。それに原作で自分が面白いと思ったシーンが全然出てこなかったりするし。ラストを大変分かりやすいものに変えるのもいいけど、あれじゃあ原作のもってた”モヤモヤ感”が出ないし、考えさせられないじゃないですか。これはもう感性の問題ですかね。脚本も演出もダメってことで。

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『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』『エクステ』

Brothershead2Exte2

ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』は原作がブライアン・オールディスってことでOK。彼がこんな本を書いてたなんて知りませんでした。

エクステ』はもう、大杉蓮による大杉蓮のための大杉蓮=山崎ぐんじ映画ってことでOK。普通のホラー映画なら恐怖の対象になるべき少女が、山崎ぐんじ君の妄念の巨大さによって影がかすんでしまっているトンデモホラー。大杉蓮さんの大胆なコスプレにも大注目。しかもとても楽しそう。

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