« 2006年9月 | トップページ | 2006年11月 »

2006.10.15

『アダムー神の使い悪魔の子ー』を観る

アダムー神の使い悪魔の子ー』を観てきました。

<銀ネコ的注目点>:監督が『』のニック・ハム。アダム役が『記憶の棘』のキャメロン・ブライト君。

<感想>:ネタ的にはB級作品なので細かな科学的・医学的点にはこだわりませんが、そこから発生する恐怖に説得力がないのが致命的。夫婦が、亡くなった息子のクローンを産むことに苦悩しつつも、一歩踏み出し、その後誕生した息子が死んだ時の年を迎えた後、彼に異変が起き始める。と、ここまでの展開はよしとしよう。問題はここから。その異変の正体が後半のネタになるのだが、そこに無理がある。ネタばれになるので詳しくは書かないが、もっと脚本を練れば、「犯罪は遺伝するのか?」とか「遺伝と記憶の関係」とかのテーマも盛り込みつつ説得力のある面白い作品になったと思うのだが。みんなそれなりに熱演してるだけに残念。

<銀ネコ的小ネタ>:『記憶の棘』では”生まれ変わり”の子どもを快演したキャメロン・ブライト君。今回は似て非なるクローン息子を快演。製作順では『記憶の棘』(04)が先なんですが、こちらも04年作。作り手はお互いの作品を知っててキャスティングしたのかどうか興味ありますね。撮影時期も重なってたとしたら彼はどんな気持ちで撮影に臨んでいたんでしょうかね。また『記憶の棘』でニコール・キッドマンとの笑激的な入浴シーンを演じた彼ですが、今作もちゃんと入浴シーンがありました(笑)。こうなるともう意図的としか思えませんなぁ。

その後も『ウルトラ・ヴァイオレット』や『X-MEN:ファイナル ディシジョン』で寡黙な役が続きました。これから公開の『サンキュー・スモーキング』ではアーロン・エッカートの息子役ですね。これはSFでもミステリーでもないので、ようやくフツーの男の子役を見られそうです。ほっ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『LOFT ロフト』を観る

久々の黒沢清監督作品。といっても実際に撮影されたのは2年前らしいので”塩漬け”にされてた訳ですね。

<銀ネコ的注目点>:黒沢清監督作品!

<感想>:黒沢清シンパを自任する私ですが、これはもはや・・・。『ドッペルゲンガー』もかなりヤバかったんですが、こちらは更に困ります。率直に言って退屈。何かをやろうとしているのでしょうが、それが観てる方に単純に”おもしろい”ものとして伝わってこない。映画論的にや、批評家的にはすごいことをやってるのかもしれないが、そんなことは監督の頭の中だけでやってればいいことで、それを実際のフィルムに焼き付ける時にどれだけスリリングなものにしてくれるかが観客の求めるもの。解説されて「あ〜、なるほどそういう意味があったんですか〜」ではダメでしょう。もちろんそういう面を持つことは構わないし、それは監督の思想・信条として拝聴するが、結果的に出来上がった作品が頭でっかちでは本末転倒。
以前の黒沢作品は緊張感があり観てて面白いし、色々考える楽しみもあった。でも最近の作品は過去の作品のいいとこを繋ぎ合わせてるだけの感じがする。殺伐とした部屋。意味ありげな装置。唐突な展開・暴力の瞬発力etc。以前は輝いて見えたそれらのシーンや演出が、今では実体を失った亡霊のようだ。それはある意味、監督の理論の実践でもあるのだろうし、何か新しいことへの模索かもしれないが、求心力を持たない物語はただ散漫に拡散するだけで観ててつらい。

中谷美紀・豊川悦司の役者陣も黒沢映画を体現できてるとは思えなかった。特に豊川悦司のラストの(演出だとしてもあまりに珍妙な)ヘタな演技には参ってしまった。黒沢映画の妙のひとつに、リアルを超えてもなおリアルな演技、があるとしても、あれはいただけない。ただ安達祐実の怪演はよかったです。彼女はホラー系でいけますね。

<銀ネコ的小ネタ>:LOFTというタイトルは、最初の設定で中谷美紀が屋根裏部屋に引っ越す設定だったところからきてるそうです。
散々悪口書きましたが、それも期待の裏返しだと思って下さい。来年公開予定の『』はプロデューサーが一瀬隆重さんということもあり、楽しみにしてますから。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

『夜のピクニック』を観る。

夜のピクニック』を観てきました。原作は未読です。

<銀ネコ的注目点>:多部未華子ちゃんが出てる。原作が恩田陸。監督が『青空のゆくえ』の長澤雅彦。

<感想>:全体の雰囲気は悪くないし、中心になる二人の物語もそれなりに面白いんですが、その二人の秘密が最初から分かってる上に、あれだけの登場人物がいるにしては少々物足りない感じでした。思うに、ネットやレンタルでも見れる前日談「ピクニックの準備」(未見)との兼ね合いなのかもしれませんね。そっちの方に登場人物たちの「歩行祭」の前日のエピソードが語られてるようなので、それを見てるともっと面白く本編を観れるのでしょう。しかしいち観客としては、上映時間が多少延びても(実際の歩行祭も24時間歩くんですから)それらのエピソードをうまく挿入して一本の作品にして欲しかったですね。、そうすればもっと厚みのある作品になったのかも、と思いました。

<銀ネコ的小ネタ>:田部ちゃんのお母さん役は南果歩。同じく田部ちゃんの友人役に加藤ローサ。で、その南果歩と加藤ローサは今公開中の『いちばんきれいな水』で親子役。また田部ちゃんと教師役の嶋田久作とは『ルート225』で親子役。う〜ん、複雑な親子関係だ・・・。

  

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.11

『レディ・イン・ザ・ウォーター』を観る

多分『シックス・センス』の衝撃がいまだに影響しているのでしょうが、どうしても”あの『シックス・センス』の監督の”と形容されてしまうM・ナイト・シャマラン監督の最新作『レディ・イン・ザ・ウォーター』です。しかし『シックス・センス』はここでは一度忘れましょう。その後に続く『サイン』や『ヴィレッジ』等の作品を観ればわかるように(自分の中では『アンブレイカブル』は別格です)、彼はりっぱなトンデモ系の監督なんです。そして愚直なまでに大まじめなんです。今回も”自分の子どもたちに聞かす為に作ったお話”なんですから目くじら立ててはいけません。ファンタジーです。そこに理論的な展開や意外な結末を求めてはいけません(いや、ある意味以外な結末なのかもしれないが)。あるがままを受け入れるのです。そうすればそこに豊かな物語世界が広がるじゃあーりませんか。

てなわけで、隠れシャマラン派としてはなかなか楽しめました。いやホント。根が子どものせいか、すんなりとシャマランワールドに入っていってました。細かいことは気にならないわけではありませんでしたが、
気にする程でもないと思いました。だってシャマラン監督ですもん。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.10

10月映画ランキング(10/9)

『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』
『地獄の変異』NEW!
『太陽の傷』
『紀子の食卓』NEW!
『オトシモノ』
『X-MEN:ファイナル ディシジョン』
『弓』NEW!
『いちばんきれいな水』NEW!

パンフレットでは比較を恐れてか”『ディセント』はホラー映画に分類されるものだろう”と正面対決を避けていますが、いち観客から見れば完全にネタがかぶってる『地獄の変異』ですが、不満は多々あるもののジャンル映画としてはなかなか楽しめました。洞窟なのにやけに明るいとか、洞窟ならではの閉塞感がないとか、化け物の正体にいまいち説得力がないとか、仲間割れ感が足りないとか、『ディセント』と比べるとリアリィティの面では一歩も二歩も譲りますが、それが返ってB級感を醸し出し続編への期待もこめて上位進出です。

逆に最下位に登場したのが『いちばんきれいな水』。古屋兎丸の漫画が原作(未読)ということで観ましたが、何だか中途半端な映画でした。何ヶ所かジーンとくるシーンはあるのですが、”少女の成長”を描くなら”姉との三日間”の前後の対比が重要なのに、それができてないので感動もいまひとつでした。姉が目覚める前の妹をもっと異質な感じにしておく必要があったのではないでしょうか。割と普通のどこにでもいるただの優等生っぽかったので、いくら眼鏡を外しチャリンコで走ってみても大して変化したようには感じられませんでした。それとプールの秘密のインパクトが弱いかなと。でもカヒミ・カリィは存在感があってよかった!それは収穫でした。

問題は『紀子の食卓』と『』。どちらもいい作品ではあると思うのですが、内容的に疑問が多く残念な順位になりました。園子温監督とはどうも相性が悪いのか、(多分)『部屋/THE ROOM』と『自殺サークル』しか観てませんが、どちらもいまひとつピンときませんでした。今回も2時間半以上という長さを感じさせない力作ではあるんですが、何故今更家族の崩壊や再生なのかよく分かりません。そこに”自殺サークル”を絡ませるのも、物語に厚みが出てるのは認めますが何やら無理矢理な感じで必然性が無いし。っていうか吹石一恵の場合は崩壊すらしてないでしょう。真に崩壊してるのは妹のユカで再生されるのは上野駅54さん。ん、そっかこれは壮大なる組み替えの物語なのか。そう考えるとなかなか凄いのかもしれない。でもこれはその人のものの考え方だから仕方ないかもしれないけど、家族なんてもともと社会的役割でしかなく、特に現代社会の家族なんで太平洋戦争後の高度経済成長期に生み出された幻想でしかなく、みんなその役を演じてるわけだから最初にも書いたようにそれを今更壊したり組み替えたりしても何がどうなる訳でもないし、何年も暮らしてれば結局同じことの繰り返しになるわけで、問題はその幻想をの先にあるもの、或は幻想の根にあるものだと思うのです。だから幻想を幻想だと暴いてみせることにあまり意味は見出せないのです。
あと、途中、いきなりエヴァンゲリオンになっちゃう(笑)のはいただけませんなぁ。というか全体的にかなり中途半端なエヴァンゲリオン。それにどう見ても17歳の女子高生に見えない吹石一恵。

ここまで書いてパンフレットを読んだら、どうやら自分の解釈は違っていたらし。妹のユカは”希望”だそうだ。でもこの映画の文脈でいくと「ここではないどこか」なんて存在するようには見えないんですが。それは一種の監督の逃げでは?だってどこに行ってもそこでの関係性の中でしか自分は存在できないわけですからね。そこに”希望”があるとしたらどんな在り方なのかそれを提示しなければならないでしょう。う〜ん、もう少し考えてみます。

それにしてもこんな映画観ちゃうと『いちばんきれいな水』の家族ってどうなのよ?って思っちゃいます。リアリティのかけらもない平和な家族。だからこそプールの秘密が重要なんですけどね。どちらにも関わってる古屋兎丸さんにその辺の家族観をお聞きしたいです!

』も、もうキム・ギドクは終わったかって感じ。『グエムル』を巡っての発言のいざこざがありましたが、さもありなんといった感じの作風。エリートに対するコンプレックスがいよいよ前面に出てきた感じ。作品としては全く不要で嘘くさいラストの一言が総てをぶち壊してる。あれがなければ格調高いトンデモ系作品としてかなりいい線いってたのに。あの一言を言わずにいられないところに監督の苦悩と限界がにじみ出している。今後はアート系のプライベートフィルム作家かAV監督か。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.06

10月映画ランキング(10/5)

『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』
『太陽の傷』
『オトシモノ』
『X-MEN:ファイナル ディシジョン』

シリーズ三作目の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』が暫定トップに。これもかなりいい加減な作りなんですが、先月末に観た感動作『ダスト・トゥ・グローリー』の勢いで、レースものということでとりあえず面白く観れたのでよしとします。ラストに出てくるキャラが、せめてアジア地域だけでもあの人ではなくエディソン・チャンだったらもっと好感触だったんですがね。シリーズとして考えれば当然なんですが、それくらいの遊び心とサービス精神をもってくれてもいいじゃないですか。残念!!(いや、もちろん香港映画の『頭文字D』の方が断然面白いし好きですよ)

三池崇史監督、哀川翔主演コンビによる『太陽の傷』ですが、少年法というテーマはいいんですが、ちょっと犯人をサイコに描き過ぎじゃない?あれでは少年法の問題点が浮かび上がらないのでは。あれだったら”少年”である必然性がなく、大人の”精神耗弱”でも同じようにならない?しかも翔兄貴、強過ぎ。脇の渋い演技陣も頑張っていただけに残念!!

監督が、黒沢清、瀬々敬久、青山真治といったそうそうたる顔ぶれの監督作品の演出助手や脚本を書いた人ってことで注目していた『オトシモノ』なんですが、何ですか、これ?全てに中途半端で一体これまで現場で何を学んできたの?と思ってしまう出来。共同脚本ってのがいけなかったかしらねぇ?ラスト近くでトンデモ系に走りそうになった時、ここからがこの人の本領発揮か!?とかなり期待したんですが、それも結局中途半端なままで終わってしまってガッカリです。でも、ものすごく好意的に考えると、上映時間や観客層のことを考えて止む無くカットしたシーンがいっぱいあるんですよね。で、もちろんこれって続きがあるんですよね?だって監督の描きたかった世界の半分も表現してないでしょ?続編待ってますってことで最下位は免れました。(『ロスト★マイウエイ』はそんなに嫌いじゃないですけどね)

そして栄えある最下位は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』です。これは自分でも以外なんですが、前二作ともかなり面白く観た記憶があり、今回も超能力合戦ってことでとても楽しみにしてたんですがねぇ。何かオープニングで全てやり尽くしたって感じで、途中ウトウトしてしまいました。ホント、ただの超能力合戦。だったらもっと派手で面白くやってよって感じ。「愛」もいいけど、それももうよくあるパターンでつまんない。分かりきった結末を分かりきった内容でただVFXの大盤振る舞いで描いただけ。だったら『ワイルド・スピード〜』くらい楽しませてくれ〜。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.01

9月映画最終ランキング

『楽日』
『ダスト・トゥ・グローリー』
『マッチポイント』
『ハードキャンディ』
『王と鳥』
『ハイテンション』
『マイアミ・バイス』
『ストロベリーショートケイクス』(試写)
『ヘイヴン 墜ちた楽園』(試写)
『記憶の棘』
『フラガール』(試写)
『46億年の恋』
『マスター・オブ・ドラゴン/決戦!!封魔龍虎伝』
『UDON』
『青春金属バット』
『アタゴオルは猫の森』(試写)
『イルマーレ』
『日本以外全部沈没』
『幻遊伝』
『親指さがし』

9月は109シネマズ川崎のオープンに(試写も含め)連日通ったこともあり、そこそこの本数になりました。

スカーレット・ヨハンソンの性格設定にいささか疑問は残るものの、きらびやかな上流社会とその中で繰り広げられる人間模様が抜群に面白い『マッチポイント』が上位に進出。『マッチポイント』と同じようにオペラが印象的な、こちらはニコール・キッドマンの『記憶の棘』ですが、”生まれ変わり”の定義次第でどうとでも解釈できてしまう脚本には疑問を感じ、大きく順位を下げました。映像もオープニングはぞくぞくしましたが、それ以降は割とフツーな感じでした。内容的には”生まれ変わり”とは何か?”魂”の再生か、単なる”記憶”の問題なのか。記憶さえあれば同一人物と言えるのか?色々と考えさせられます。そういう点では面白い作品なんですが。

ストロベリーショートケイクス』と『ヘイヴン 墜ちた楽園』はスタイル的にはどちらも複数のストーリーがラストで交叉する群衆劇。でも『ヘイヴン』の方はかなり無理矢理な感じがするし、交叉のさせ具合が中途半端。ただすれ違ってるだけ。『ストロベリー〜』もラストはかなり強引な感じですが、女優陣の熱演に感服です。でも池脇千鶴はちょっと浮いてなかったすか?『ジョゼと虎と魚たち』であれだけの役をやってるんだから、今更中学生みたいな役もないだろうにと思うんですが。

『ヘイブン』とはマイアミ繋がりの『マイアミ・バイス』。多分TVドラマは観てないです。でも自分にはなかなかかっこよかったです。

韓国版の記憶がほとんどない『イルマーレ』のリメイク版ですが、ハリウッドらしい他愛ないお伽話的な仕上がりでまたしても直ぐに記憶から消えそうです。『UDON』も他愛ないと言えば他愛ないんですが木場一己が出てるし、やはりうどんが食べたくなるのは事実なので、妙にインテリぶってる『イルマーレ』より庶民派の『UDON』を上にもってきました。

原作の漫画は読んでない『アタゴオルは猫の森』なんですが、かなり美しいCGの場面も多々あるんですが、そのくせ人物のCGが10年くらい昔のようなのは何故なのか疑問に思う以上に「植物」と「動物」の区別の仕方そのものに納得のいかないストーリーに大幅な減点。谷山浩子が声の出演をしてます。って言ってピンとくるの人はオヤジの証拠?

割と期待してた『日本以外全部沈没』ですが、思った通りというか思った以上のトホホぶりに唖然。ちょっと金のかかった自主制作映画のノリはいいとしても、もう少し演出にメリハリは出せないものか。河崎監督の作品はこれが初めてで「いか」も「コアラ」も「かに」も見てませんが、多分このゆるいノリが持ち味なんでしょうが、ベテラン俳優人の熱演があっただけに残念。

惜しくもトップの座は奪えなかったものの、天国と地獄の境をハイテンションなノリでかっ飛ばし、いくつものマッチポイントをくぐり抜けて疾走する男達の熱い想いがハードに炸裂する『ダスト・トゥ・グローリー』がトップとは僅差の二位でゴールイン!!メキシコの荒涼とした大地、約1600キロメートルを32時間で駆け抜ける世界最長ノンストップのクロスカントリー・レース「バハ1000」。意地とプライド、友情と信頼。人生そのものの縮図のようなレース。得られるのは栄光。かっこいいっっす。

109川崎に関する記事はこちら
「109シネマズ川崎」情報6〜まとめとか(銀幕小匣)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年9月 | トップページ | 2006年11月 »