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2004.07.28

『ワイルド・レンジ/最後の銃撃』7/25.ケイズシネマ

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渋い、渋すぎる。本格的な西部劇なんて何年振りだろう。雄大な大自然のオープニング(撮影はカナダらしいですが)からもう画面に引き込まれました。牛を追って生活するまさしくカウボーイたちが、土地を支配し町までも牛耳っている牧場主と意地とプライドを掛けて対決する話。
話そのものは特に目新しいものがあるわけじゃないですが、じっくり描き込まれた人物像と、ゆったりとしてはいるが常に緊張感を孕んだストーリー展開が、2時間20分の間、画面への集中を途切れさせません。
お互いの本名も過去も知らずに10年近く暮らしてきたボスとチャーリー。生死を共にしてきたことで生まれる友情と信頼。そして対決の町で芽生える愛。それをロバート・デュパルとケビン・コスナー、アネット・ベニングが見事に演じています(だから余計に前日観た『ラブドガン』の「生と死」や「愛」といったテーマが薄っぺらに感じた)。悪役がいかにも悪役って感じなのが時代的には今っぽくないけど、それはそれで変に理屈っぽくなくてよしとしましょう。
ガンファイトも最後の最後に見せ場がありますが、それまでは無駄な撃ち合いもなく、ラストに向けての雰囲気を高めていきます。マシンガンやオートマチックの銃弾無尽蔵の連射合戦より、この時代のシングルアクションの撃ち合いは撃ち合い本来の緊迫感があっていいですね。

アメリカの原点が、いい意味でのフロンティア精神にあるのだとしたら、拳銃で道を拓き己の独立を勝ち取っていくカウボーイの姿に、アメリカの観客達は古きよきアメリカの栄光を垣間見るのでしょうか。ただあのラストはいかにも現代っぽくて好きじゃないんですけど、つまりは開拓時代の終焉を意味すると同時に、現代アメリカ社会が抱える深刻な家庭崩壊へのメッセージなんでしょうか?

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2004.07.25

『ラブドガン』7/24.テアトル新宿

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渡辺監督のデビュー作『プープーの物語』はさんざん迷った挙げ句、結局観に行かなかったので、これが渡辺作品初鑑賞。

映像処理や演出等、画面的には結構好きです。美しいと思ったりかっこいいと思ったシーンもいくつかあります。でもどうも全体的に薄っぺらな印象です。それは多分登場人物達にリアリティがないからだと思います。それぞれに色んな過去を背負ってるんですが、それらが言葉だけのものでしかなく、テーマであるらしい「生と死」や「愛」といったものが切実なものとして伝わってこないのです。多分「銃弾は撃つ人間の感情によってその色を変える」とゆうアイディアが先にあり、物語を後から付けたのではないでしょうか。だからそのアイディアを生かした映像スタイルはそれなりに決まってるんですが、物語の方が追い付いてきていない、そんな感じの作品です。ロシア語を使ってみたり、どこかファンタジックな雰囲気があったりと細部へのこだわりはいいんですが、どうせなら変にテーマ性を持たせた作りにしなくて、スタイルで押しまくる作品にした方がふっ切れててよかったかもと思います。
もちろんキャストの人たちは頑張ってました。岸部一徳は相変わらずの渋い味だし、永瀬君もあおいちゃんも新井君もよかったです。それだけに余計もったいない気がします。やるならもっと徹底的に物語・人物を描き込んで欲しかったです。でも彼、彼女たちだからこそここまでやれたんでしょうね。

後、あの永瀬君の赤いリボルバー(akira)はちょっと重量感がなくて安っぽく見えて残念だったです。

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『キッチン・ストーリー』7/23.ル・シネマ

北欧と聞くとどうしてもスカンジナビア半島を一括して思い浮かべてしまうけど、それぞれの国がそれぞれの文化をもって存在しているってことをあらためて思い知らせてくれました。ここにも戦争の影を引きずる国々が存在するのです。

それにしてもこの映画はいったいどうゆう映画なんでしょう?面白い。確かに面白い。でも面白がっていいのか?とゆう疑問も少なからず自分の中にある。だって、いい歳して独身で友達も少ない孤独な男たちの、友達獲得合戦の話しでしょ。結構キツいよね。
調査する者(フォルケ)とされる者(イザック)。そこから芽生える友情。基本的な構成は問題ないし、観ていて心温まりホッとするのも確か。だけど、その当人たちの境遇がいかにも物語を進める為っぽくないかってこともある。一歩間違えば、寂しがりや同志が傷をなめあって、慰めあってるだけにも受け取れる。あ〜、こんなことを考えるのは自分もいい歳した独身男だからか?それとも俺の心が荒んでいるのからか!?だって一番共感するのが、イザックの友人のグラントだったりするんだもの。
まあ、台所動線図とか梯子椅子とかかわいいキャンピングカーとか、奇妙で魅力的なアイテム満載の、初々しい出合い系映画です。

それにしてもル・シネマの客席はどうしていつもあんなに暑いんだ?暑くて画面に集中できないし、おしりが汗でびっしょりになった。もっと空調効かせてくれ!

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『プッシーキャット大作戦』/『ずべ公同級生』7/20.テアトル新宿(レイト)

★『プッシーキャット大作戦』
いいですね〜、このバカバカしさ。元ネタのラス・メイヤー監督『ファスタープッシーキャット キル!キル!』は観てないっすけど、キャラクターといい東北弁といいナンセンスな展開といい、笑えます。43分とゆう時間もコンパクトで飽きのこない時間ですね。
★『ずべ公同級生』
こちらは18分。短い分、濃縮された笑いとくだらなさが最高。意味のないオチもマル。クールなマキちゃんがイカしててます。

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2004.07.24

『つきせぬ想い』7/19.キネカ大森

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久々のキネカ大森。1993年の香港映画。アニタ・ユンの出世作。日本最終上映。いわゆる難病純愛ものですね。『チルソクの夏』とはカラオケ繋がり。

何かいいですね、この雰囲気。本作を機にアニタ・ユンはスターの座に登っていったらしいですが、おちゃめで明るくて確かに魅力的です。さすがに『世界の中心で〜』の長澤まさみのように頭を剃ることはなかったようですが、そこまで求められるものでもないしね。全体に控えめな演出でお涙頂戴的でないとこがいいです。観終わった後に、もちろん悲しい話ではあるんだけど、アニタ・ユンの笑顔が印象に残るある種の爽やかさもあります。脇役の人たちも味があって香港下町風情がまたいいです。
相手役のラウ・チンワンはいつもまぶたが重そうで、正直あんまりいい男には見えないんだけどこれくらいがちょうどいいのかな。大絶賛ってことはないけど静かに心に染みる作品ではあります。
ただ、古い(って言ってもたかだか10年前ですよ)作品なので音声の状態が悪くて、いい場面なのに音のレベルが極端に変化して画面に集中できないとゆう不具合があり、残念でした。

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『チルソクの夏』7/19.渋谷シネパレス

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大まかな筋しか知らなくて観に行ったので、誰が主人公なのかも分からなくて、冒頭20分くらいは、何て軟派な女子高生たちなんだ!こんな軽い乗りの映画だったのか!?いったいどうゆう展開が待ってるんだ?と本気で心配しました。主人公がはっきりしてからは、4人の女の子たちのキャラもはっきりしてきてそれなりに安定した進行になりほっとしました。でもいまひとつ煮え切らない部分も多かったですね。例えば、韓国人の親が日本人と付き合うのを嫌がるのは分かるとして、下関の人たち、特に主人公の父親が韓国人と付き合うのを嫌がる理由が分からない。下関の人たちからすると常識的な何かがあったんでしょうか?それとも戦争の歴史の負い目っとことでいいのかしら?山本譲二が父親役でいい味出してるだけに、もったいない。日本の文化汚染(韓国側の解放)の問題は今だに続いてるだけに、もう一歩二歩、踏み込んで欲しかった。
それと、現在から過去を振り返る語り口も何か過去を美化するだけの装置っぽくてあんまり好きじゃないんだよね。特に今回みたいな25年もの歳月が流れてるのに、その間の時の流れを全く感じさせない演出ってどうなんでしょう?25年後の4人が屈託なさ過ぎるからかしら。青春時代のてんやわんやを全く彷佛とさせないのも全体のバランスを崩してるようでいた。オープニングはいいとして、ラストはもうちょっとうまい処理はなかったのかね。まあ、そんな見方する方がひねくれてるのか。

あの時代の流行曲を大量?に流すのも一歩間違えればカタログ的で嫌になりそうな部分でした。リアルに考えれば日常的にもっともっと色々聞いてるはずなので、問題ないようにも思うのですが、映画ですから、あまりに恣意的に聞かされるのもどうかなと。まあ、曲で気持ちを表現しようとゆう意図は分かるんですがね。

上野樹里はこれが映画初出演なんですね。『ジョゼと〜』が先に公開されたからそっちが先かと思ってました。この子も先が楽しみですね。今度は『スウィングガールズ』ですか。

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2004.07.19

『マッハ!』7/15.ヤマハホール(試写会)

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CG無し、ワイヤー無し、スタント無し、早回し無しのムエタイ一本勝負!ってことで『マッハ!!!!』です。アクションシーンは確かに凄い。宣伝通りであるかないかにかかわらず、観てて痛そうなのは確かだし、かっこよく華麗なアクションだ。それだけでもアクション映画好きは観て損はないだろう。ただ物語り自体はいささか腰が弱い。仏像を取り戻すってのが本筋なんだけど、特に導入部から中盤までの進行がギクシャクしてて、早くアクションやれよ〜と言いたくなった。それにそこまでのアクションもいかにも「アクションを見せますよ」的カットで、わざとらしい場面設定や、同じシーンを何度も別アングルのカメラで再現する日本のバラエティ番組的カットにはいささかため息も出た。でも中盤以降はそうゆうこともなく、過激なアクションで楽しませてくれました。
アクションだけでなく、親子の情、友情も入った人情ものでもあります。そして最後は「仏様を粗末にするとバチが当たる」とゆう、日本人にも馴染みのある?結末で締めてくれるありがたいお話でもあります。

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『箪笥』7/14.一橋ホール(試写会)

なかなか濃い作品です。雰囲気としては『4人の食卓』(「罪の意識」とゆう共通項もあるし)に似たところもありますが、こっちの方が”得体の知れない度”は高いです。あまり内容に触れるとネタばれしちゃうので書きませんが、色々解釈ができる作品で、多分それなりに論争になるのではないでしょうか。それ程謎の多い作品ではあります。が、裏を返せば説明不足(もちろん意図的なのではありますが)なわけで、全てを説明するのがいいことだとは思いませんが、最低限の情報は与えて欲しいとも思うのです。まあ、最低限のカットから判断して、後は観客のイマジネーションの問題、とゆうことでしょうか。
キャストは充実してます。二人の姉妹、継母(『カル』『H』のヨム・ジョンア)と迫真の演技です。ただ残念なのが、どうしてもまだ『リング』『呪怨』といった和製ホラーの影響から抜け切っていない部分があるところですね。貞子的な動きや呪怨的効果音から早く脱却して下さい。

一番のポイントは「実の母親の死の原因」と言っておきましょうか。もちろんこれは結局明らかにされないのですが、これを念頭に置いて観るとちょっとは助けに(何のだよ!)なるかも。あと当然ながらちょっとした小道具やシーンにも意味が隠されているってこと。小説版にはかなり踏み込んだ解釈が書かれてるみたいですね。ちょっと悔しいので、公開されたらもう一度観に行こうと思ってます。余計なことですが公式ページ、重すぎます。

ドリームワークスが、史上最高額でリメイク権を獲得したそうですが、どうゆう映画にするつもりか分かりませんが、何かイヤな感じですね。そんな他所で作ったものばっかりひっぱってこないでオリジナルで勝負せいよ、まったく。

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『L`Ilya〜イリヤ』7/13.シネマアートン下北沢

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先の『マレヒト』と『舌』の間に作られた作品。やはりこれもテーマはディスコミュニケーション。ビデオアーティストのイリヤが、自殺志願者が死ぬところをビデオで撮影してビデオアートにして人気者になる。でも一緒に暮らしてた人間が自殺しちゃう。原因は不明。相手のことなんて、実は何にも分かってなかったんじゃないのか?って、実に当たり前なことに思い至るんだけど、そんなこと当然だと思ってる人にとっては今更何をって感じたよね。近未来ってゆう設定らしいけど、そんなこと画面からはさっぱり分からないし、「自殺」に対する考察が含まれているんでしょうが、何だかよくわからない。すみません。
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門審査員特別賞受賞だったり、各地のホラー映画祭に出品されたりしてるけど、それ程のものか?ってゆうのが正直な感想です。

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『スイミングプール』7/13.シネマライズ

うーむ、相変わらずオゾン監督は自信に満ちた絵作りで老成した感さえあります。物語はかなりひねってあって、複雑な女心のように分かりづらい。ミステリー的ではあるけど全体の仕掛けはそこに主眼があるわけではなく、その複雑な女心の迷宮にあるのでしょう。若さ、美貌、奔放etc、女性(だけとは限らないが)がいくつになっても捨てきれないこだわりが生む現実と幻想。この映画も『箪笥』同様、はっきりと語られていない部分に重要な鍵が隠されているとゆう、ある意味、観客の側からすると「やられたぁ〜!」とゆうよりは「あれ?そうゆうのってあり?」的な印象が強かったりするのだが、まあそれを言っちゃあおしまいだし、それを抜きにしても十分面白いのでよしとしましょう。

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2004.07.14

『デイ・アフター・トゥモロー』7/10.TOHOシネマズ川崎

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連日の暑さに耐え切れず、涼しげな作品を求めて行ってきました。劇場内もいつもより冷房が強めにかかってたように思ったのは気のせいでしょうか。

話しの中身は別に期待せず、スペクタクルな映像が観れればいいと思っていたので、十分楽しめました。見たことのない映像とゆうか、日常の景色の崩壊・破壊。やっぱこれですよね、この手の映画は。スチームボーイも見習ってくれ。
話し自体はもう定石通り進んでいきます。大筋はいいとして、途中のエピソードははっきり言って陳腐。オオカミも、雪山映画によくあるザイルネタももっと工夫してくれよって感じ。まあ、細かいことに目くじら立てる作品でもないかな。でも、その辺をもっと丁寧に作ってくれればもっと感動的な作品になる可能性があると思うんですけどね。ネタがネタだけに。

この映画の公開前後に、NHKでやってた「地球大進化」ってゆう番組で、”全球凍結”とゆう太古の昔地球全体が凍結したことがあるとゆう仮説を紹介していた。最初、この映画もそれに基づくものかと思ったけど、全然違ってましたね。でもこの”全球凍結”もすごいですよね。

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『スチームボーイ』7/9.ヤマハホール(試写会)

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大友克洋さんのマンガはわりと初期の頃から読んでましたし、アキラも熱狂して読んだくちです。ただ映画化された『アキラ』はいまひとつもの足りなくてがっかりした記憶があり、脚本で参加した『メトロポリス』も途中で眠くなったこともあり、この『スチームボーイ』も久々の新作とゆう期待はあるものの不安もありました。でも予告編がとてもエンターティナーしてたので案外いけるかなと楽しみにして出掛けました。

うーん、10年の歳月と24億の金は何だったんだ?とゆうのが観終わっての率直な感想。企画を寝かし過ぎたせいで発酵しちゃったんじゃないの?って感じ。そもそもスチィームボーイってタイトルなのに、レイ君って全然主役じゃないじゃん。それって『アキラ』ってタイトルで全然アキラが出てこないのと一緒?でも宣伝にはレイ君を全面に出してるんだから今更それはないでしょう。ぴあの特集での発言で『「スチームボーイ誕生」の話なんです』って言ってるけど、それって詐欺じゃん。
映像的には確かにスゴイ面もあるけど、スチーム城もなんか迫力・スケール感ないし、破壊のスペクタクルも物足りないんだよね。ミクロはいいんだけど、マクロがだめ。それは物語り全体にも言えることか。

主役は完全にレイ君のお父さんとおじいちゃん。二人の科学技術に対する考え方の違いを軸に物語りは進みます。その二人に翻弄されるレイ君、とゆう構図。だから確かにレイ君の成長物語として見れば主役はレイ君なんだけど、レイ君の存在感が薄いからとても主役に見えない。それ故、物語に求心力がなく何を言いたいのかよく分からん。いや、言いたいことははっきりし過ぎるくらい明らかなんだけど、逆にあからさま過ぎて観てる方が引いてしまう部分がある。いやいや、それでもいいんだけど問題はその問題提起(=科学技術の発展は歴史の必然で、その為には戦争も必要悪であり利用すべきVS科学技術はあくまで人間の幸福のために在るべきであり、人殺しに使うべきではなく制御できない技術は封印すべし)に対する解答があまりに曖昧とゆうか尻切れとんぼとゆうか、はっきりしないこと。
おまけにエンド・クレジットで本編の”その後”を紙芝居的に見せるのだが、これがまた混乱を招く。一体本編の親子の対立はどう止揚されたのか?原子力を蒸気に置き換えただけで問題は解決するのか!?肝心なのは科学技術の種類じゃなくてそれを使う人間の心であるはずでしょ?手塚治先生もそう言ってたんじゃないの?武器商人=戦争の問題とか色々取り入れてて面白い場面もあるんだけど、作品全体を通して観ると、何だかぼんやりした中途半端な印象しか受けないのはやはり、紆余曲折し練られ過ぎた脚本に問題があるのではないでしょうか。いやはや。

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2004.07.13

『舌〜デッドリー・サイレンス』7/8.シネマアートン下北沢

チラシの雰囲気や宣伝文句、直前に観た『マレヒト』の感じから、この作品も作家性の強い硬派なものかと予想してました。

が、これってギャグですか?パロディ?
妻が死んでしまい、夫が死体を捨てに行く。しかし妻は生き返り夫はあたふた。その合間合間に妻と夫のそれまでの日常と、妻が死に至る経緯が語られる。
時間を遡り死の原因が明らかにされるのは、もうお決まりのパターンで、この映画はそのスタイルを借りた壮大(って言っても38分だが)なギャグ映画でありゾンビ映画に対するオマージュなのか!?
そう言えばゾンビって喋らないよね。つまりデッドリー・サイレンスなわけだ。ははは。この監督、女性のお喋りに対して異様なこだわりを持ってるんだろうね。それと言語によるコミュニケーション。だって先の『マレヒト』だって女性型アンドロイドの言語能力の向上(つまりお喋りになるってことなんだけね)だったり、演説であったりするわけだし。この作品もゾンビになった妻は一言も喋らない(喋れない?)わけだし。話し合うことによるコミュニケーションの不可能性。あ、チラシに書いてあるわ「ディスコミュニケーション」って。そうそう、それ。決して面白いわけではないけど、不思議な味の作品、としておきましょうか。

そして振り返ってみると、つまり『マレヒト』もああゆう硬質な絵づくりの中で、実はお喋りな女に対する皮肉を言いたかったの?と思うと面白い。ホントかどうかは別として、そおゆう見方をするとね。

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2004.07.12

『マレヒト』7/8.シネマアートン下北沢

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佐藤智也とゆう監督の1995年の30分作品。最新作『舌〜デッドリー・サイレンス』との併映です。その作品のチラシに書かれている紹介文章に惹かれて観にいきました。

国境線を見張る一人の兵士。敵国の指導者マレヒトの演説を受信し録音している。宿舎には政府支給の慰安用女性型アンドロイド=イリア6型がいる。ある日、軍の役人が来てイリア6型のバージョンアップ(言語能力の向上)を施していく。そこから微妙に兵士の生活が変化していき・・・。と、この”言語能力の向上”とゆうのがこの作品の肝だと思うのですが、それは併映の『舌〜デッドリー・サイレンス』を観てから強く感じたことで、この作品だけではそこまで考えが及んだかどうかは分かりません。だから正直、観終わった直後は「?」「で、何?何を言いたかったの?」とゆう思いでした。あれ、これって自分がチラシに扇動されたってことかい?
砂漠やコスチュームは好きですし30分とゆう短さは適切ですが、作品としてはよく分かりませんでした。マレヒトの声を故天本英世さんが演じているので、彼の声を聞けたことはうれしかったです。

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2004.07.11

『誰も知らない』7/5.シネカノン有楽町(試写会)

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『氷の国のノイ』とは「墓掘り」繋がり。

是枝作品は初鑑賞です。トークショウ(監督&YOU)付き試写会。
確かに力のある作品です。カンヌではあくまでも柳楽優弥くんの最優秀男優賞ですが、その他のキャストもみんなすばらしく、作品そのものものもちろんよくできてると思います。ドキュメンタリータッチであることや、現実的に考えれば、あんな状況でみんなあんなに優等生的でいられるのか?とゆう疑問も生まれますが、まあそんなこともあるのでしょう。それにこれは監督も言ってることですが、お母さん役のYOUのキャラが、子どもを置き去りにするんだけど決して悪い人間には見えない、とゆう点がひとつの大きなポイントですね。あくまで子供達がたくましく生きていく物語であるわけで、現代社会のゆがみを告発する映画ではありませんからね。
でもやはり注目は子供達の演技ですね。実に自然で無理がありません。みんな(YOUも含めて)本格的な演技は初めてとゆうことなんですがこの先が楽しみな子たちです。柳楽優弥くんが注目されてますが(確かに揺れ動く少年の心理状態を見事に表現してます)、監督的には長女役の京子こと北浦愛ちゃんがすばらしいとおっしゃってました。それとタテタカコさんが歌う「宝石」とゆう曲もよかったです。予告編でも流れてるやつですね。本人もコンビニ店員役で出演してます。まあ、観て損のない作品だと思います。ウォルタ−君のようなファンタジックで夢のある話じゃないし、ノイ君のようなシビアで辛口でもない、着想から15年、撮影に1年を掛けただけはあるリアルで身に詰まされる作品です。

唯一気になったのが、ラストにある事件が起こるのですが、それに対する子供達の対応の仕方ですね。それが都会の中、ああゆう状況下で育った子供達だからの反応なのか、そおゆうことに対する経験の無さからくる反応なのか、今一つ釈然としないものを感じました。上映後監督とのティーチ・インがあったので聞けばよかったんですが、それを思ったのは帰ってきてからだったので、もうすでに遅しでした。

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『氷の国のノイ』7/4.シアターイメージフォーラム

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アイスランドの小さな町に住むノイは、おばあちゃんと二人暮らし。親父はいるけど何故か別居状態。学校をさぼって昼間っからスロットマシーンからちょろまかしたお金でビールを飲んではぶらぶらして、タバコも吸う見た
目は老けてるがまだ未成年の不良君。親しい友達はいなくて先生達からも嫌われている。唯一の話し相手は本屋のオヤジ。唯一気の休まる場所は家の地下室。
ある日ノイは都会から町に帰ってきたイーリスと知り合う(実は本屋のオヤジの娘)。狭い町で息の詰まりそうなノイは、町のみんなとは違う空気をまとっているイーリスに好意を寄せデートに誘う。しかし授業をボってばかりにノイはとうとう退学になってしまう。さて、それからノイとイーリスの、彼を取り巻く人々の運命は如何に?!

アイスランド映画を好きになったきっかけはフリドリック・トール・フリドリクソン監督作品『春にして君を想う』で、アイスランド映画の魅力のひとつは、あの荒涼とした特異な氷の大地の風景にあるのですが、この作品はそうゆう面を割と表に出さずに勝負してるところが、絵的には残念だけど、潔い部分でもあります。話としてははみ出し者のノイ君の絶望と希望の物語りといったところでしょうか。希望といっても実に残酷な希望なのですが、それは無慈悲な神の恵みなのかノイ君の超能力なのか、私にはわかりません。ただ結果だけを見れば、現状に行き詰まった青年が抱く暗い願望が具現化したものではあります。この先ノイ君はどうなるのでしょう?う〜ん。
好きか嫌いかと問われれば、嫌いじゃないけど、特に他人に勧める程でもないって感じですかね。二度三度と繰り返して観れば味の出てくる作品のように思えます。

それにしてもアイスランド映画に見られるアメリカ文化の影響は興味深いですね(第二時大戦後駐留してた為らしい)。エルビス・プレスリー好きの父親に、犬の名前までがエルビスだし。校長先生の机にはAppleのPowre Book。それにコカ・コーラ。先のフリドリック・トール・フリドリクソン監督の『ムービー・デイズ』や『精霊の島』では、まさにそうゆう戦後の時代のアイスランドを描いた作品でしたしね。

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2004.07.07

『家族のかたち』6/30.ヤクルトホール(試写会)

ひとつの家族のありかたを描いたイギリス映画。夫が出ていってしまし、娘と恋人と三人で暮らすシャーリー。そこへ出ていったはずの夫が、よりを戻そうと帰ってくる。二人の男の間で気持ちが揺れるシャーリー。

ってなわけで三角関係プラス娘。気が弱いが優しい今の恋人と、自分勝手でわがままだが見栄えはいい前夫。まあ、一番問題なのはあっちへころころ、こっちへころころと揺れる女心なのかもしれないと思いつつも、それを言ってはお終いのお話なので、自分も同じ立場なら優柔不断になるだろうなぁと思いながら観るのがいいのでしょう。子どもがいるといないでは大きな違いだろうしね。この娘のマーリーンがよかったです。意志の強いしっかり娘を好演してました。『誰も知らない』の子役たちも凄かったけど、この子も将来が楽しみです。
深刻ぶらずにコメディタッチにしたのが正解ですね。元夫役のロバート・カーライル。普段は憎めない役が多いように思うのですが、今回はイヤな男を好演してました。恋人役はリス・エヴァンス。こちらも気弱な男を熱演。脇もユニークなキャラたちでなかなか楽しい映画でした。内容そのものは、まあ家族の崩壊が叫ばれて早幾星霜。どんな形であれ、それを結び付ける絆があればそれが幸せってことですかね。「血」なんて幻想に近いものだしね。かといってそこから抜け出せないのも事実だけど。

でも邦題はいただけない。原題は「Once upon a time in the midlands」 なんだけど、『家族のかたち』ってちょっと直接的過ぎませんかね?

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『ヴェロニカ・ゲリン』6/29.恵比寿ガーデンシネマ

アイルランドで麻薬組織の撲滅に心血をそそいだ女性記者の話し。実話をベースにしてるとゆうことなので、物語りそのものにとやかく言う気はありません。 

悪人が絵に書いたような悪人じゃなくて、以外と小心者の悪人だったりするのがおもしろい。下っ端の鉄砲玉たちの方がものを考えない分怖いけど、まあ、一番悪いのは命令する奴らだけどね。それにしても何か事が起こってからじゃないと何もできないとゆう政治の体質はアイルランドに限らず、どこの国でも同じとゆうことか。いったん動き出すとトントンと出来ていく法律も、それまで幾多の犠牲を払わねばならないとゆう愚行。ヴェロニカは決して悲劇のヒロインになりたかったのではないとゆうことを忘れずにいたいものだ。

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2004.07.04

『天国の本屋〜恋火』6/28.チネチッタ

篠原哲雄監督のまたしても原作(未読)ものです。「天国の本屋」と「恋火」の二つを元にしているようです。死者と現世とそこを行き来する人。題材としてはありがちですが、原作本はかなり評判いいみたいですね。この本のベストセラー化のいきさつ自体が映画になりそうな感じもしますが。

で、映画ですが、やはり二つの話を無理やりくっ付けたとゆう印象は拭えませんね。もちろんメインは竹内結子のエピソードなんですが、もうひとつの香里奈のエピソードがとって付けたようでわざとらしい。それは新井浩文くんの為に用意されたのかもしれないが、あんな扱いのエピソードなら無い方がよかったんじゃない?
突然ヒステリーを起こす竹内結子も不可解。その意味は分かるとしても、香川照之の気持ちを考えたら普通あそこまでやらないでしょう、いきなり。商店街の花火大会復活とゆう目的から始まったストーリーからともっと丁寧に展開してってもらわないと。ラストの和火の花火の打ち上げも、一体どこでどうやってあれだけの花火を作ったのか分からん。あれだけの花火を作るにはそれなりの金やら施設やら期間やら何やらが必要ではないの?実際劇中で塩見三省も言ってるし。「天国の本屋」とゆうファンタスティックな物語りはいいとして、地上でのリアリティまでも無視してしまっては興醒めでした。やはり脚本の問題ですかね。

文句ばかり書いてきましたが、池を配した「天国の本屋」のセットは秀逸だと思いました。実際撮影終了後も小樽市の埠頭の倉庫の中に残っていて各種イベントなどが行われているそうです。行ってみたい。

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『みなさん、さようなら』6/27.シネスイッチ銀座

今年のアカデミー賞最優勝外国語映画賞作品(カナダ・フランス)。こちらも親子もの。父と息子。しかも父親が死の直前。この父親とゆうのがとんでもない不良で、元大学教授だありながら何人も愛人を作り、妻とはもう別居状態で息子も海外に出てしまっている。息子は父の、最期の時は楽しく過ごしたいとゆう願いを叶えてあげようと、友人や愛人たちを病院に呼び寄せる。金の力で病室を改装したり癌の苦痛をやわらげる為とはいえ、ヘロインまで買うとゆうヴェロニカ・ゲリンが知ったら激怒するようなことまでやってしまう。それでも「死」は確実に迫ってくるのだが。
物語の最初の方で人類の大量殺戮の歴史をとうとうと述べ、アメリカの同時多発テロでの犠牲者数などそれに比べればたいした数ではないと語るシーンがあるが、その本人が自分ひとりの「死」に、実は恐れおののいているとゆう現実。父親のあけっぴろげで享楽主義的でありながら「死」に対して異常な恐怖を抱くとゆう二面性や、父親とは正反対で几帳面な息子の性格など、全体としてはユーモラスな仕上がりなのだが、今一つ何を言いたかったのかわかりませんでした。原題が「蛮族の侵入」というそうで、あちこちの感想を読んでいると、ここでは「蛮族」とは「死」という意味らしいです。でもこの物語ではその「死」すらも金で買ってるわけですから一番の蛮族はやっぱり「金」なんですかね。
「死」について考えるとゆう意味では成る程と思う部分もあるけど、金で全てを解決できる身分にないものにとってはリアリティのないおとぎ話のような話ですね(そおゆう皮肉も込めてるの?)。肉親の死とゆう部分で観ると、まだ『グッバイ、レーニン!』や『ビッグ・フィッシュ』(おとぎ話のようなこっちの方が父親と息子の関係においては自分にはリアルだったし)の方が自分の心には染みました。

自分なら『たそがれ清兵衛』にあげてたね。

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2004.07.01

『丹下左膳・百万両の壺』6/24.明治安田生命ホール(試写会)

ビッグフィッシュとは「釣り」繋がり。

「姓は丹下、名は左膳。人呼んで丹下左膳」の名文句は知ってても、詳しい話はよく知らぬ時代劇。でもここ最近の時代劇ブームのせいか、斬ったはったのチャンバラものであろうと思いつつ予告編の、相変わらず舌の回らない豊川悦司の危うげな立ち回りにいささかの危惧を抱いたのでありました。

でリメイク版『丹下左膳・百万両の壺』なわけです。
うーん、チャンバラはあるんだけどやっぱり人情劇なんですね、あくまでも。しかもその部分は割りとぬるめな感じで、各キャラクターはそれなりに味を出してるんだけど、話そのものがいささかNHKのバラエティー時代劇(コメディお江戸でござる等)的趣があり、かなりまったりした感じ。それはそれで極悪人は出てこないし血もほとんど流れないとゆう、家族そろって安心して観ることのできる娯楽作品ではあるのですが。
でも一応時代劇のヒーローですよね、丹下左膳って。原作やオリジナルもこんな明るいキャラでおおらかな話だったんですかね?明るいのが悪いわけじゃないですが、最近のアメコミ等のダークなヒーロー像に馴れてくると影の部分が欲しくなるんですなあ、ヒーロにも。ってかヒーロでもないよこれは。腕のたつただのいい人。チャンバラシーンも少ないし。もっと強い丹下左膳を見せて欲しかった。
オープニングは両手で戦ってるんだから、片目片腕の本格的な斬りあいがラストだけとゆうのはいささか寂しい。
『たそがれ清兵衛』『壬生義士伝』のような感動系とは違うし、『座頭市』のような過激さもない。゛完全リメイク゛ということなら仕方ないが、もっと今の時代にリメイクする意味を感じさせるものが欲しかった。と昨日(6/30)試写会で観た『家族のかたち』と比べながら思うのでありました。

テレビで中村スパイダーマン獅堂の丹下左膳をやってたけど、まだトヨエツ左膳の方がいいかな。


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