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2004.07.14

『スチームボーイ』7/9.ヤマハホール(試写会)

steamboy-sinagawa.jpg
大友克洋さんのマンガはわりと初期の頃から読んでましたし、アキラも熱狂して読んだくちです。ただ映画化された『アキラ』はいまひとつもの足りなくてがっかりした記憶があり、脚本で参加した『メトロポリス』も途中で眠くなったこともあり、この『スチームボーイ』も久々の新作とゆう期待はあるものの不安もありました。でも予告編がとてもエンターティナーしてたので案外いけるかなと楽しみにして出掛けました。

うーん、10年の歳月と24億の金は何だったんだ?とゆうのが観終わっての率直な感想。企画を寝かし過ぎたせいで発酵しちゃったんじゃないの?って感じ。そもそもスチィームボーイってタイトルなのに、レイ君って全然主役じゃないじゃん。それって『アキラ』ってタイトルで全然アキラが出てこないのと一緒?でも宣伝にはレイ君を全面に出してるんだから今更それはないでしょう。ぴあの特集での発言で『「スチームボーイ誕生」の話なんです』って言ってるけど、それって詐欺じゃん。
映像的には確かにスゴイ面もあるけど、スチーム城もなんか迫力・スケール感ないし、破壊のスペクタクルも物足りないんだよね。ミクロはいいんだけど、マクロがだめ。それは物語り全体にも言えることか。

主役は完全にレイ君のお父さんとおじいちゃん。二人の科学技術に対する考え方の違いを軸に物語りは進みます。その二人に翻弄されるレイ君、とゆう構図。だから確かにレイ君の成長物語として見れば主役はレイ君なんだけど、レイ君の存在感が薄いからとても主役に見えない。それ故、物語に求心力がなく何を言いたいのかよく分からん。いや、言いたいことははっきりし過ぎるくらい明らかなんだけど、逆にあからさま過ぎて観てる方が引いてしまう部分がある。いやいや、それでもいいんだけど問題はその問題提起(=科学技術の発展は歴史の必然で、その為には戦争も必要悪であり利用すべきVS科学技術はあくまで人間の幸福のために在るべきであり、人殺しに使うべきではなく制御できない技術は封印すべし)に対する解答があまりに曖昧とゆうか尻切れとんぼとゆうか、はっきりしないこと。
おまけにエンド・クレジットで本編の”その後”を紙芝居的に見せるのだが、これがまた混乱を招く。一体本編の親子の対立はどう止揚されたのか?原子力を蒸気に置き換えただけで問題は解決するのか!?肝心なのは科学技術の種類じゃなくてそれを使う人間の心であるはずでしょ?手塚治先生もそう言ってたんじゃないの?武器商人=戦争の問題とか色々取り入れてて面白い場面もあるんだけど、作品全体を通して観ると、何だかぼんやりした中途半端な印象しか受けないのはやはり、紆余曲折し練られ過ぎた脚本に問題があるのではないでしょうか。いやはや。

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コメント

昨日観てきました(この記事読んでたら行かなかったかも?)
私も登場人物の心理描写に甚だ不満足でした。
「マニア向け」の映画という印象です。
「蒸気機関でそんなことできんだろう」という固定観念が邪魔をして、深く感情移入できなかった気がします。
じゃあ固定観念のない子供ならOKかといえば、そうでもないような。
あと、爺さんの台詞の発声が不明瞭な箇所が多く、まあ類推で言ってることはわかるんだけど、一緒に観た中国人の妻にとっては厳しかったかも。
「超大作」と言うからにはそういう基本的なこともしっかりして欲しかったのですが・・・

投稿: ena | 2004.07.19 09:42 午後

enaさん。コメントありがとうございます。連日の暑さにダウンしてお返事遅くなってしまいました。

「マニア向け」の映画かどうかは別として観客を選ぶ映画ではあるかもしれませんね。私は昔からSFをよく読んでいたので「蒸気機関の発達した世界」=いわゆるスチームパンクな世界にはすんなり入れましたが、それより何より「かたち」先行で「物語り」がついてこないところに問題があるよう思いました。
何でも海外向けには一般?向けのノーカットバージョンと子ども向けの短縮バージョンがあるらしいですね。短縮バージョンの方がすっきりしてて面白そうな気がするんですがね。

爺さんの台詞は確かにそうですね。もごもごしてて、時々何言ってるのか分からなかってですね。

投稿: ザンギ | 2004.07.24 09:50 午前

これは動画に対するセンスの問題と思います。
大友克洋のマンガは静止した瞬間の画にとてもカタルシスを感じるのに動画ではそれが全く感じない。静止映像にひたすら執着してきた人が、映画を作ると、写真家なんかもそうですが、動画としての面白さが全くない映画を作ってしまう。どこぞのヨーロッパのマンガ家にも同じような感じを受けます。頭の中でイメージしてる映像も止まってるんだと思います。
ストーリーとかははっきり言って二の次。映画は動く映像としての勢い(センスとかリズムと言ってもいい)があれば筋が多少破綻してても面白いのです。
宮崎駿がすごいのは映像センスが抜群にいいことです。
大友克洋は巨匠と言うには映像センスが致命的にない。
あれだけ金と時間をかけても、おお!と思わせる瞬間がほとんどない。リズム感がない人が
大オーケストラ使って音楽作ってるのと同じ感じじゃないでしょうか。
前半の列車アクションのシーンでも宮崎駿だったらもっとワクワクするシーンになってると思います。これは理屈では言えない、センスとしか言いようがない部分です。
そしてそれはいい娯楽映画の見えない土台を為す部分だと思います。
実写の場合エディターがそのリズムをうまく作り、俳優は自分で動いてくれますから残るシナリオが重要な比重を占めていたりしますが(それもハリウッドシステムの中だけだと思ってますが)それも本来はその手助けでしかなく全ては動く映像に対する作り手の能力が問題だろうと思います。ちなみに大友克洋は実写のほうが面白かったです。アニメよりセンスを感じます。
なんにしろこの映画とても勉強になりました。あはは。

投稿: 42% | 2004.08.07 04:18 午前

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