黒沢清的世界を撮る。
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その映画を初めて観たのはどの劇場だったのか、もう記憶は定かでない。しかしその衝撃は今でもはっきりと憶えている。だが、その時既に彼<寺山修司>は亡くなっていた。映画のタイトルは『書を捨てよ、町へ出よう』。
芝居を初めた頃はまだ<寺山修司>は生きていた。そして亡くなる1年程前のことだったと思うが、大学の春の新入生歓迎祭のイベントのひとつとして学内で彼の講演会があり、何となく聞きに行ったのを憶えている。そしてそれが最初で最後の<寺山修司>との遭遇だった。しかしまだ芝居を始めて間もない自分は、名前こそ知っていたもののその存在の偉大さには全く気付いておらず、その後、喪ったものの大きさに愕然とすることになるのだった。
『書を捨てよ、町へ出よう』との出会いは本当に衝撃的だった。高校を卒業するまでほとんど映画など観たこともなかった田舎者にとっては、いくら芝居をやってるからといって、いきなりスクリーンの中から主人公が語りかけてくる映画があるなんて思いもよらないことだった。こんな映画があるんだ・・・。映画ってこんなに自由でいいんだ。その後『田園に死す』を観て、本・短歌を読み<寺山修司>に目覚めていった。そして彼がもうこの世にいないことに愕然とするのであった。
これもまだ”アングラ”という言葉がリアルな言葉として使われ、学園紛争の最後の残滓がキャンパスに残っていた頃の、甘酸っぱいというよりは苦い記憶を伴う、とある時代の思い出ではあるが。
何ていう思い出話を書いたのはこんなニュースを見つけたからでした。
あなたも寺山修司になれる!? 寺山お面(エキサイトニュース)
*大学卒業後に始めた劇団では一時期「万有引力」とは多少お付き合いはあったんですがね。海津義孝さんに客演してもらったこともあったり。ウチの役者が向こうに客演したり。
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知り合いの出ているお芝居が7月30日から渋谷の文化村シアターコクーンで上演されてます。『歌劇 人情酸漿蛍(にんじょうほおずきぼたる)』
主演は沢田研二・石田えり。作・山岸きくみ/演出・久世光彦/音楽・coba/振り付け・南流石
興味のある方は是非ご覧になって下さい。8/15(日)までです。
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